セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-出血1

タイトル 内P-172:

当院における上部消化性潰瘍患者に対する緊急内視鏡診療の現状

演者 岩井 渉(八戸市立市民病院・消化器科)
共同演者 村田 次啓(八戸市立市民病院・消化器科), 山崎 辰洋(八戸市立市民病院・消化器科), 松田 泰徳(八戸市立市民病院・消化器科), 佐藤 真広(八戸市立市民病院・消化器科), 沖 元二(八戸市立市民病院・消化器科), 前田 俊一(八戸市立市民病院・化学療法科)
抄録 【背景/目的】3次救急施設である当院は消化管出血を主訴に搬送される症例も多い.高齢化,抗血栓薬服用者の増加に伴い消化性潰瘍における薬剤の関与,高齢者に対する緊急内視鏡の妥当性を検証することは重要と考えられる.【対象】2012年4月-2013年2月まで緊急内視鏡を施行し上部消化性潰瘍と診断された112例を対象に年齢,搬送時のShock index・血清Hb値,Forrest分類,胃潰瘍の存在部位,止血処置,抗血栓薬/NSAIDs内服,H.pylori感染,輸血の有無について検討を行った.【結果】男性/女性 80/32例.平均年齢69.6±14.9歳.出血性胃潰瘍(GU)83例 出血性十二指腸潰瘍(DU)29例.平均Shock Indexは0.80±0.25 ,平均Hb値は 8.94±3.01であった.Forrest分類はIa 12例 Ib 8例 IIa 58例 IIb 3例 IIc 13例 III 18例.止血処置施行群は79例(70.5%)で,未施行群(33例,29.5%)と比較し搬送時のShock Indexが高かった.(p=0.009).止血法は純エタノール局注法35例(44.3%),clip法2例(2.5%),両者の併用40例(50.6%),その他1例(1.3%),止血困難例(外科手術)1例(1.2%)であった.一次止血率は98.7%で,後出血症例は認められなかった. 抗血栓薬/NSAIDs内服症例は53例(GU43例,DU10例),非内服症例59例(GU40例,DU19例)で差はなかったが,内服群で有意に65歳以上の高齢者が多く(p=0.001),Hb値が低い結果を示した.(p=0.0032) GUの存在部位は内服群43例(上部/中部/下部 8/14/21),非内服群37例(上部/中部/下部3/23/11)で差は認めなかった.今回の検討では抗血栓薬内服例の休薬に伴う合併症の発生は認めなかった.H.pylori陽性者は48例(GU/DU 37/11),陰性者 37例(GU/DU 29/8)であり差は認めなかった.輸血については非投与群(38例)に比較し投与群(72例)でShock indexが高い結果を示した.(p=0.0326)【結論】緊急内視鏡で診断された消化性潰瘍患者のうち約70%で止血処置を施行した.未施行群と比較し搬送時のShock indexが高い結果を示し, 改めてvitalの評価が重要と考えられた.
索引用語 緊急内視鏡, 消化管出血