セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-出血2

タイトル 内P-178:

血管塞栓術を要した出血性消化性潰瘍の検討

演者 檜沢 一興(九州中央病院)
共同演者 工藤 哲司(九州中央病院), 守永 晋(九州中央病院), 畑田 鉄平(九州中央病院), 江崎 幹宏(九州大・病態機能内科), 松本 主之(九州大・病態機能内科), 飯田 三雄(九州中央病院)
抄録 【目的】内視鏡止血困難で血管塞栓術(IVR)を要した出血性消化性潰瘍の臨床像を明らかにする.【対象および方法】過去4年間に当院で緊急内視鏡を施行した223例の出血性消化性潰瘍を対象に内視鏡止血困難で血管塞栓術(IVR)を要した17例(8%)の臨床像を検討した.このIVR群17例と非IVR群206例の臨床背景,基礎疾患,抗血栓薬およびNSAIDsの服薬,H. Pylori (HP) 感染,潰瘍性状(Forrester分類),止血処置,輸血率を比較した. 【結果】両群間で発症年齢(平均72歳 vs. 66歳),性別(男性11例65% vs. 150例73%),NSAIDs服用率(6例35% vs. 74例36%),抗血栓薬服用率(4例24% vs. 44例21%)に有意差はなかった.しかしIVR群は非IVR群に比較してHP感染率(4/8例50% vs. 104/122例85%)は低いのに対して,脳血管疾患による抗血栓薬服用例(4例24% vs. 14例7%)が多かった.さらに出血性潰瘍発症1週間以内の血栓塞栓症合併例(2例12% vs. 7例3%)も多く全例が脳梗塞であった.またIVR群ではForrester IIa以上の活動性出血例(16例94% vs. 139例68%)やクリップ止血術(8例47% vs. 14例7%)を含む複合処置(15例88% vs. 28例14%)を要した内視鏡止血困難例が多く,輸血率(16例94% vs. 135例66%)も高かった.視野確保が困難な十二指腸球部後壁や高度変形例,さらに穿孔の危険がある巨大潰瘍例では内視鏡処置が困難でIVRによる追加治療を選択していた.内視鏡止血処置による潰瘍穿孔が1例,手術困難による死亡が2例あった.【結語】内視鏡止血困難な出血性消化性潰瘍においては迅速にIVRと手術時期を検討し,特に脳血管疾患による抗血栓治療中では脳梗塞の発症にも注意が必要である.
索引用語 出血性消化性潰瘍, 血管塞栓術IVR