共同演者 |
菊池 保治(聖隷沼津健康診断センター), 笠松 伸吾(沼津市立病院・消化器内科), 菊池 寛(沼津市立病院・消化器内科), 宮城島 大輔(沼津市立病院・消化器内科), 久保田 教生(沼津市立病院・消化器内科), 中川 彰彦(沼津市立病院・消化器内科), 篠崎 正美(沼津市立病院・消化器内科), 後藤 信昭(沼津市立病院・消化器内科) |
抄録 |
胃底腺ポリープfundic gland polyp(FGP)内に異型細胞を認め,内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic mucosal resection;EMR)で切除した1例を経験したので報告する.【症例】44歳女性.関節リウマチで他院通院中,2004年12月頃から心窩部痛があり,2005年1月に当科初診となった.当時の上部消化管内視鏡検査では潰瘍性病変など心窩部痛の原因となるような所見は認めなかった.粘膜萎縮やヘリコバクター・ピロリ感染もなく,非びらん性胃食道逆流症(non-erosive reflux disease;NERD)・機能性胃腸症(functional dyspepsia;FD)としてプロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor;PPI)内服を継続していた.2007年10月の上部消化管内視鏡検査で胃ポリープを指摘され,生検でFGPであった.2012年10月の再検時に増大を認め,生検で一部に異型細胞を認めたため,同年11月,EMR施行した.NBI拡大観察では白色隆起に一致して血管の拡張あり,やや不整であった.病理標本では,数ヶ所で拡張腺を含むfundic glandの増生からなる粘膜であり,polypoid lesionの本体は FGPと考えられた.表層にはわずかな核腫大を伴った密な細胞配列を認め,腫瘍性増殖を疑われたが,ポリープの全体像からは再生異型に含まれる幼若腺管上皮増生と考えられた.【考察】本症例ではPPI内服下での経過観察中に胃底腺ポリープの出現と増大を認め,その一部に異型細胞を認めた. 家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis;FAP)を随伴しないFGPに異型を認めた報告はまだ少ない.PPI長期内服による胃底腺ポリープの症例が増加しており,今後同様の症例が増えてくる可能性がある.文献的考察を加えて報告する. |