セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-腫瘍1

タイトル 内P-186:

審査腹腔鏡が診断に有効であった胃癌を合併した乳癌術後腹膜播種の1例

演者 小林 ゆかり(東京西徳洲会病院・外科)
共同演者 佐藤 一彦(東京西徳洲会病院・乳腺腫瘍科), 清水 一起(東京西徳洲会病院・外科), 須田 耕一(東京西徳洲会病院・病理科), 菊一 雅弘(東京西徳洲会病院・外科)
抄録 症例は48歳女性で,2006.6に他院で左乳房切除術+乳房再建術を施行された.術後病理でリンパ節転移が13/15と高度であり,レセプターはER:-,PgR:+,HER2:3+であった.術後補助化学療法としてTrastuzumabを投与するも心毒性にて中止され,TAM内服療法を施行していた.2008.9からは当院乳腺科でFollowされ,2009.11施行のPET,MRIで胸椎転移を指摘され,同12月からLH-RHアゴニスト剤+アロマターゼ阻害剤+ビスホスフォネート製剤に変更された.その後施行のPET,MRIなどにて骨転移は消失したと判断され,以後も継続して化学療法が施行された.2011.4以後,徐々にCEAが上昇してきたが,PET,乳腺/腹部エコーなどでは特に再発や転移などは指摘されなかった.2012.11に頻尿を自覚,更に2013.1便秘/便柱狭小を自覚した.諸検査を施行し,CFで直腸の硬化所見を認めたが生検ではGr1であった.CTでは左水腎症/胃噴門部の壁肥厚/腹水を,PETでは胃噴門部に集積像を認めたが炎症と診断され,転移や再発は指摘されなかった.しかし,念の為GFを施行し,噴門部~体部小弯に発赤を伴った壁硬化像を認め,生検でpor(PAS:+,HER2:-)の診断を得た.CEAは51.2であった.以上より2013.2に胃癌治療目的に外科に紹介された.乳癌術後のcontrolは良好との事で,腹水は4型胃癌腹膜播種が示唆され,審査腹腔鏡を施行した.腹水は淡黄色透明で中等量であったが,胃漿膜側には胃癌浸潤所見はなく,大網にも明らかな結節を認めなかった.卵巣は両側とも八頭状に腫大していた.腹膜はほぼ全域に渡り腹膜の外側に地図状に白斑を認め硬化しており,一部を採取した.後日,腹水はClass IIで,腹膜組織には充実/索状配列の癌細胞を認め,PAS:-,ER:+,PgR:+,HER2:3+であり,組織学的にも乳癌切除標本と一致し,乳癌腹膜播種と診断した.胃癌は原発性と思われた.乳癌の腹膜播種や消化管転移は大変稀である.今回我々は,胃癌腹膜播種を疑い審査腹腔鏡を施行し,乳癌腹膜播種,原発性胃癌と確定診断し得た症例を経験したので報告する.
索引用語 乳癌, 腹膜播種