セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-腫瘍2

タイトル 内P-189:

胃底腺ポリポーシスを背景に発生した胃腺腫の1例

演者 木下 和郎(住友病院・消化器内科DELIMITER大手前病院・消化器内科)
共同演者 吉田 有里(住友病院・消化器内科), 光藤 元子(住友病院・消化器内科), 黒川 三佳(住友病院・消化器内科), 岸田 修(住友病院・消化器内科), 山田 晃(住友病院・消化器内科), 南 武志(みなみ内科クリニック)
抄録 症例は44歳女性.近医で多発する胃底腺ポリープ(FGP)のフォロー中であった.2012年9月上部消化管内視鏡検査で胃体下部大弯前壁に周囲のFGPと異なる形態を呈した有茎性ポリープを認め生検でGroup2であり内視鏡治療目的で当院紹介された.遺伝性ポリポーシスを疑わせる身体所見は見られず,家族歴で大腸癌や大腸ポリポーシスはなく,近医での大腸内視鏡ではsporadic polypのみであった.H2blockerを時々使用していたがPPI使用歴はない.背景胃粘膜には萎縮はなく体部に密在する多発FGPをみとめた.体下部大弯前壁には径15mmの山田3型ポリープがあり,NBI拡大観察では小型円形腺開口部を有するFGPとは明らかに異なる樹枝状構造を認めたが,粘膜微細構造の不均一化や微小血管の口径不同などはみられなかった.2012年10月EMR施行;病理学的にFGPをベースに複数箇所の腺上皮は嚢胞状となり核の極性は保たれ核異型は乏しいもののN/C比の軽度増高を認め腺腫(腺腫については断端陰性)と診断された.本症例ではAPC遺伝子解析は施行していないが,大腸ポリープは散発性でまた家族歴もないことから家族性大腸腺腫症(FAP)は否定的と考えられた.またピロリ抗体IgG陰性,ガストリン130pg/ml,ペプシノゲン1 57.2ng/ml,ペプシノゲン2 10.1 ng/ml, PG1/PG2 5.7と正常であった.萎縮やピロリ感染を伴わないFGPに伴う異型はnon-FAPでは稀である.ただしnon-FAP症例でもFGPポリポーシス症例では腫瘍化の報告があり,今後も慎重な経過観察が必要と考える. 文献的考察を含め報告する.
索引用語 胃底腺ポリポーシス, 腺腫