セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-症例1

タイトル 内P-199:

NBI併用拡大観察が質的診断に有用であり,ESDで治癒切除し組織像と対比した胃印環細胞癌の2例(極微小病変1例,小病変1例)

演者 齋藤 崇(新津医療センター病院・消化器内科)
共同演者 豊島 宗厚(新津医療センター病院・消化器内科), 渡邉 玄(新潟大・1病理学)
抄録 【背景】印環細胞癌と低分化型腺癌は未分化型癌として分類されるが,低分化型腺癌が早期でもリンパ行性転移が多いのに対して,早期の胃印環細胞癌はそれほど悪性度が高くないという報告もある.NBI併用拡大内視鏡(ME-NBI)などIEEの普及に伴い,小病変でESDにより治療される印環細胞癌が増加している.2006年1月~2013年2月に,ME-NBI観察が有用でありESDで治癒切除し組織像と対比した胃印環細胞癌の2例を経験したので報告する.【症例1】60歳代男性.胃角大弯前壁よりに径2mmほどの極微小な浅い陥凹病変を認めた.ME-NBI観察では,ほぼ同位置で別々に,1.非腫瘍部よりもやや幅広で長く少しうねったWhiteZoneの表面構造パターン,2.径不整・走行不整・ごく一部でらせん状の間質血管パターン,がそれぞれ観察可能であった.これらの所見により,印環細胞癌は胃底腺や表層腺窩上皮の構造を保ち胃粘膜内中層(胃底腺頸部)にほぼ限局していると診断し得た.3.周囲非腫瘍粘膜のB2パターンと比較して側方進展範囲が推測された.Signet-ring cell carcinoma pT1a(M),ly(-),v(-),pHM0,PVM0,表面陥凹型,1.5X2mmであり,癌細胞は胃底腺頸部の増殖帯にほぼ限局していた.【症例2】84歳女性.胃角大弯に径10mm~15mmほどの浅い白色陥凹病変を認めた(中心には生検後の再生上皮と考えられる発赤隆起あり).ME-NBI観察では,陥凹部にはA.表面構造パターン(WZ)は認められず,B.径不整な,らせん状の血管パターンが認められたが,C.粘膜下層(sm)の露呈を示唆する比較的径の太い血管は認めなかった.これらの所見から胃底腺や表層腺窩上皮の構造を破壊した胃粘膜全層に及ぶ小胃印環細胞癌と診断し得た. 陥凹部辺縁からは,なだらかに非腫瘍性粘膜に移行し,側方進展範囲の指摘が困難な部分所見がみられた.Signet-ring cell carcinoma,pT1a(M),ly(-),v(-),pHM0,PVM0,表面陥凹型,15x12mmであった.【考察】極微小な胃印環細胞癌のみから成る病変においてME-NBI観察は質的診断に有用である.
索引用語 胃印環細胞癌, NBI併用拡大内視鏡