セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-症例2

タイトル 内P-203:

コーラによる溶解療法を試みた胃石の2例

演者 阿部 康弘(芳賀赤十字病院・消化器科DELIMITER岩手県立中央病院・消化器科)
共同演者 新畑 博英(芳賀赤十字病院・消化器科DELIMITER自治医大・消化器内科), 村山 梢(芳賀赤十字病院・消化器科DELIMITER自治医大・消化器内科), 篠崎 聡(芳賀赤十字病院・消化器科DELIMITER自治医大・消化器内科)
抄録 【諸言】
本邦の胃石では植物性胃石が最大の原因であり,近年コーラを用いた溶解療法が奏効するとの報告を散見する.我々はコーラによる溶解療法が有効であった症例と無効であった症例をそれぞれ経験したため文献的考察を加え報告する.
【症例1】70代男性,心窩部痛と黒色便を主訴に受診.上部消化管内視鏡検査(以下EGD)にて胃内に5cmと3cmの2個の胃石及び胃角小彎と前庭部小彎の2ヶ所に活動期潰瘍を認めた.第5病日のEGDで砕石を試みるも困難であったため,胃石に対しコーラ局注を行ったところ結石の一部に崩壊がみられた.同日よりコーラの飲用を開始.1週間後のEGDで胃石の縮小と軟化を認めスネアにより容易に破砕しえた.病歴聴取から柿を多く摂取した経緯もあり,成分分析の結果と併せて柿胃石と判断した.
【症例2】80代女性,吐血・貧血のため紹介.EGDで胃内に凝血塊と食残渣及び胃角部小彎とp-ring周囲に活動期潰瘍を認めた.保存的に加療し後日EGDを再検したところ胃内に6cm大の胃石を確認した.内視鏡所見から植物性胃石を強く疑い,溶解・軟化を期待しコーラ飲用を開始.約3週間後にEGDでは潰瘍は改善していたが,胃石の大きさに変化はなかった.胃石にコーラ局注し砕石を試みたが,胃石は軟らかく,崩壊する様子は認めなかった.胃石は繊維成分に富み,鉗子操作で容易に変形しうる状況であった.軟らかさのため内視鏡的砕石は困難であるが,経食道的には摘出可能と考えオーバーチューブ挿入下に摘出.本症例の胃石を成分分析に提出すると症例1とほぼ同様のスペクトラムを示した.
【考察】
2例とも成分分析上のスペクトラムはほぼ同一であり,内視鏡所見からも植物性胃石と考えられた.コーラによる妖怪療法が無効であった症例2では症例1と比較して,長いままの食物繊維が残存していたため,軟らかく,砕石できなかった可能性がある.胃石の組成はほぼ同一であっても内部の繊維成分の多寡により砕石の容易さに差が生じると考えられた.
索引用語 胃石, コーラ