セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-症例2

タイトル 内P-205:

早期胃癌・早期食道癌ESD後の経過観察中に増大傾向を認めた,反応性噴門部リンパ節腫大の一例

演者 石戸谷 裕樹(KKR札幌医療センター・消化器内科)
共同演者 関 英幸(KKR札幌医療センター・消化器内科), 松薗 絵美(KKR札幌医療センター・消化器内科), 横山 文明(KKR札幌医療センター・消化器内科), 大原 克仁(KKR札幌医療センター・消化器内科), 石橋 陽子(KKR札幌医療センター・消化器内科), 菅井 望(KKR札幌医療センター・消化器内科), 三浦 敦彦(KKR札幌医療センター・消化器内科), 藤田 淳(KKR札幌医療センター・消化器内科), 鈴木 潤一(KKR札幌医療センター・消化器内科), 岩崎 沙里(KKR札幌医療センター・病理診断科), 鈴木 昭(KKR札幌医療センター・病理診断科)
抄録 【背景】早期胃癌・食道癌のリンパ節転移等の詳細な検討から,ガイドラインに基づき早期胃癌・食道癌に対して内視鏡的治療が広く行われている.今回,早期胃癌・食道癌に対してESDを施行した後,増大傾向とともにPETにて高集積を認めたリンパ節に対し,外科切除が行われ,病理学的に良性と診断された一例を経験したので報告する.【症例】67歳,男性.食事中の上腹部痛を主訴に当科紹介受診.上部消化管内視鏡検査において,食道切歯列より30cm,34cmの部位の部位に0-2c病変,胃前庭部大弯に0-2c病変を認めた.それぞれの病変に対しESDを施行し,各病変の深達度はm3癌,m2癌,m癌であった.その後経過観察のCTで,初診時1cm弱であった噴門部リンパ節が,7ヶ月後に2.3cmと増大傾向を示し,PET-CTでもSUV Max 5.8の明瞭な集積を認めた.リンパ節腫大は1カ所のみであったが,食道癌,もしくは胃癌の転移と考え,診断目的に外科切除を行った.手術検体の病理学的診断はreactive lymphadenopathyであり,悪性所見は認めず,その後も現在まで明らかな転移を示唆する所見は認めていない.【考察】癌の進達度とリンパ節転移の頻度との関係については,m3食道癌で9%以下,本症例の形態を示す胃m癌では,1%以下と報告されている.通常ESD後リンパ節増大を認めたときには,癌のリンパ節転移を考え,追加治療として化学療法や放射線療法などが選択されることが多い.本症例では,胃および食道癌のESD後にリンパ節腫大が出現し,食道癌と胃癌のどちらの転移かを明らかにする目的で外科切除を行った.しかし,病理学的には悪性所見を認めなかったことから,抗癌剤や放射線治療などの過剰な追加治療を回避することができた.この様な症例は極めて稀と思われるが,ESD症例を経過観察するにあたって貴重な症例と考えたので報告する.
索引用語 ESD, reactive lymphadenopathy