セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-症例4

タイトル 内P-211:

横行結腸の縦隔内脱出を伴うupside down stomachに対して内視鏡的治療を施行した1例

演者 吹田 洋將(聖隷横浜病院・消化器内科)
共同演者 浅木 努史(聖隷横浜病院・消化器内科), 豊水 道史(聖隷横浜病院・消化器内科), 足立 清太郎(聖隷横浜病院・消化器内科), 安田 伊久磨(聖隷横浜病院・消化器内科), 片倉 芳樹(聖隷横浜病院・消化器内科)
抄録 【症例】91歳,女性.【主訴】嘔吐.【既往歴】子宮脱,腰椎圧迫骨折の既往あり.数年前より認知症あり.【現病歴】3ヶ月位前より週1回位の頻度で嘔吐あり,1週間前には黒色吐物あり当科紹介.上部消化管内視鏡検査では瀑状胃を認めたが明らかな出血病変を認めず.外来経過観察としたが,その後も頻回に嘔吐症状があるとのことで精査治療のため入院とした.【入院時現症】胸部に異常所見なし.腹部触診で圧痛なし.脊柱後弯症を認めた.【検査所見】血液生化学データではHb 10.0g/dlと軽度の貧血と,BUN 29.8mg/dlと上昇を認めた.胸部X線写真では心陰影に重なるように縦隔内に消化管ガス像を認めた.腹部CT検査にて食道裂孔ヘルニアを認め,胃穹窿部は腹腔内に位置したが,胃体部~前庭部が胸腔内に脱出していた.また横行結腸も縦隔内に脱出していた.胃透視の所見もあわせ,間膜軸性の胃軸捻転を伴ったupside down stomachと診断した.【入院後経過】絶食・点滴で治療を開始したが,食事開始に伴い嘔吐症状が出現した.外科的治療に関して当院外科にコンサルトしたが,高齢・認知症あり,適応外とのことであった.経鼻経管栄養チューブを十二指腸水平部まで挿入し経管栄養を開始したところ嘔吐症状は消失した.本人・家族とも経口摂取を希望されたため,内視鏡的胃瘻造設術による胃壁固定により捻転を予防できる可能性を説明したところ,治療を希望するとの事であった.横行結腸が縦隔内に脱出したままで胃瘻を造設した場合,胃瘻チューブが横行結腸間膜を貫通することになるため,大腸内視鏡を施行し,横行結腸を縦隔内から腹腔内に引き戻した.同時に胃捻転が整復されているのを確認後に上部消化管内視鏡にてPEG造設した.食事を開始したが嘔吐症状の再発なく退院とした.upside down stomachに対してPEG固定により治療した報告例はあるが,横行結腸の縦隔内脱出を伴う症例に対しての内視鏡的治療報告例は今回初めてである.
索引用語 upside down stomach, 間膜軸性胃軸捻転