共同演者 |
中江 遵義(中江病院・内科), 巽 陽一(中江病院・内科), 中路 幸之助(中江病院・内科), 藤田 篤代(中江病院・内科), 本多 俊裕(中江病院・内科), 加藤 寛正(中江病院・内科), 神津 知永(中江病院・内科), 松山 健次(中江病院・内科), 淀澤 美樹子(中江病院・内科), 清水 達也(中江病院・外科), 中江 聡(中江病院・外科), 塩谷 昭子(川崎医大附属病院・食道・胃腸内科) |
抄録 |
症例:88歳女性.既往歴:40歳胃癌にて胃亜全摘.現病歴:平成24年6月他院にて吻合部潰瘍を指摘された.その後狭窄をきたし食事摂取が不十分となったため他院にて入院加療を行われたが改善せず,10月の腹部CT検査で肝内胆管から総胆管にかけての著名な拡張と胆嚢腫大を認めた. さらに,血液検査では胆道系酵素の上昇も見られ閉塞性黄疸疑いとして当院へ紹介入院となった.検査結果:腹部CTでは,再建後の十二指腸から胆管・膵管に著しい拡張が見られ,輸入脚閉塞によるものと思われた. 上部消化管内視鏡検査では,Bil-2再建後で吻合部輸入脚側に不整な潰瘍性病変を伴って狭窄が見られ,狭窄部の生検結果はadenocarcinoma,tub1であった.吻合部の胃癌再発による輸入脚症候群によって閉塞性黄疸を合併したと診断した.入院後経過:まず内視鏡的拡張術を施行したところ,胆汁混じりの腸液が残胃内へ流れ出し,内瘻化目的でERBDチューブを留置した.後日施行した腹部CT検査では十二指腸の拡張は軽減し,血液検査でも改善傾向を示したため,ドレナージは有効と考え,輸入脚側に径12mmとやや細めのメタリックステントを留置した.そして,さらに血液データが改善したのを確かめ,経口食を開始したが流動食程度しか通過せず,ガストログラフィンにて透視を行うと,輸出脚側への排泄も低下していた.そこで,後日径22mmのメタリックステントを輸出脚側へ留置した.その後の透視では排泄能は改善し,経口食も5分粥摂取が可能となり退院.再発胃癌による輸入脚症候群が原因で閉塞性黄疸をきたした症例に,内視鏡的ステント留置術が有効であったため,若干の文献的考察を加え報告する. |