セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-症例5

タイトル 内P-219:

非典型的な経過をたどった,好酸球性胃腸炎の2例

演者 田村 泰弘(愛知医大・消化器内科)
共同演者 舟木 康(愛知医大・消化器内科DELIMITER愛知医大・中央臨床検査部), 徳留 健太郎(愛知医大・消化器内科), 近藤 好博(愛知医大・消化器内科), 井澤 晋也(愛知医大・消化器内科), 伊藤 義紹(愛知医大・消化器内科), 増井 竜太(愛知医大・消化器内科), 土方 康孝(愛知医大・消化器内科), 河村 直彦(愛知医大・消化器内科), 飯田 章人(愛知医大・消化器内科), 水野 真理(愛知医大・消化器内科), 小笠原 尚高(愛知医大・消化器内科), 佐々木 誠人(愛知医大・消化器内科), 春日井 邦夫(愛知医大・消化器内科)
抄録 【背景】好酸球性胃腸炎は多彩な消化器症状を認め消化管への好酸球浸潤を伴い,胃・十二指腸などの全消化管に病変を認めまれな疾患である.今回,診断に苦慮した好酸球性胃腸炎の2症例を経験したので報告する.【症例1】43歳,男性.15年前より胸やけと食後腹部膨満感のため,近医にてPPI投与されるも症状改善無く2011年12月精査目的に当科受診.末梢好酸球の増加はなかったが,IgEが高値(15700IU/ml)であったため,好酸球性胃腸炎を疑い上部内視鏡検査施行した.肉眼所見は異常なく複数生検からも好酸球浸潤は認めなかった.消化管運動改善薬の追加投与にて胸やけ症状は軽減するも,食後の腹部膨満感と時折の嘔吐症状は持続していた.2012年2月に症状の増悪を認め腹部CT検査施行,回腸および直腸の壁肥厚を指摘された.大腸内視鏡検査にて異常はなかったが,生検にて好酸球浸潤(20/HPF以上)を認めた.【症例2】38歳,女性.2011年5月腹痛にて近医受診し,上部内視鏡・腹部CT検査施行するも器質的病変を認めなかった.PPI投与するも症状軽快せず機能性消化管障害と診断されていた.その後,症状は自然軽快するも2012年9月症状再燃したため当院受診,500個/μl以上の末梢好酸球の増加を認めた.上部内視鏡検査にて肉眼的正常粘膜より複数生検を施行したところ,十二指腸球部より好酸球浸潤(20/HPF以上)を認め好酸球性胃腸炎と診断した.2症例ともにベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩配合剤投与にて症状改善した.【考察】好酸球性胃腸症の症状は多彩であり,内視鏡所見に異常を認めない場合も多く確定診断が困難である.本症例はともにステロイドを使用せずに一時症状改善を認めたため好酸球性胃腸炎の診断に苦慮した.非特異的な症状と経過にて好酸球性胃腸炎を疑った場合には,複数の肉眼的正常粘膜生検が診断に有用と思われた.
索引用語 好酸球性胃腸炎, 機能性