セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-症例5

タイトル 内P-221:

内視鏡検査で診断された胃重複症の一例

演者 有田 圭介(埼玉協同病院・内科DELIMITER筑波メディカルセンター・在宅ケア事業)
共同演者 田中 宏昌(埼玉協同病院・内科), 守谷 能和(埼玉協同病院・内科), 大石 克己(埼玉協同病院・内科), 福本 顕史(埼玉協同病院・内科), 忍 哲也(埼玉協同病院・内科), 小野 未来代(埼玉協同病院・内科), 吉野 肇(埼玉協同病院・内科), 増田 剛(埼玉協同病院・内科)
抄録 症例は42歳女性.糖尿病で他院通院加療中に上腹部不快感を訴えて施行された腹部超音波検査で膵尾部付近の異常を指摘され,当院へ精査目的に紹介された.施行された腹部CTでは胃の背側に液体と空気を伴う構造と,それに連続して胃壁外から胃内腔へ突出する複数の嚢胞様部位を認めた.上部消化管内視鏡では弓隆部から胃体部にかけて粘膜下腫瘍様の隆起部位が散在し,胃体上部大弯側の隆起部位に認めた瘻孔様の部分から経鼻内視鏡を挿入して内部を観察したところ,胃と同様の粘膜に覆われた内腔が存在し,内腔表面の生検では通常の胃粘膜と診断された.超音波内視鏡では散在する胃内隆起部位は胃壁の固有筋層に相当するとみられる低エコーの第4層に取り囲まれた嚢胞様構造として描出された.その内部には嚢胞内腔の表面とみられる高エコーの層状構造と内腔とみられる低エコーの部位を認め,さらに一部では内腔よりも高エコーな不整形腫瘤様部位を認めた.病変部位で超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)を行ったところ,多数のdebrisと正常な胃粘膜上皮細胞とされた.以上より胃重複症と診断し,現在外来経過観察中であるが,症状は消失し,病変部位の変化を認めていない.胃重複症は消化管重複症の2.9~10.4%とされる稀な疾患である.消化管重複症の多くは幼少時に発見されるが,胃重複症は成人後に発見された症例の報告があり,長期間無症状で経過した後に何かの理由で検査を受けた際に発見されることがあると推測される.多くの既報症例では胃重複症は手術で切除されたのちに手術検体の病理学的検索により確定診断されており,本症例のように治療開始前に診断にいたることは稀であるため若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語 胃重複症, 超音波内視鏡