セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-症例5

タイトル 内P-222:

内視鏡下に採石を行った腸石による輸入脚閉塞症の1例

演者 赤池 英憲(山梨大・1外科)
共同演者 河口 賀彦(山梨大・1外科), 芦沢 直樹(山梨大・1外科), 細村 直弘(山梨大・1外科), 土屋 雅人(山梨大・1外科), 藤井 秀樹(山梨大・1外科)
抄録 症例は82歳,男性.胃癌の診断にて当科で胃全摘,胆嚢摘出術,Roux-Y再建を施行し外来通院中であったが,無再発で経過していた.術後4年目に嘔気と臍周囲痛を認め,近医受診.投薬で経過をみるも症状の改善なく当科紹介受診となった.血液検査上,肝胆道系酵素の上昇,アミラーゼの上昇を認めた.CT検査にてY脚が吻合部まで全体的に著明に拡張しており,輸入脚閉塞症の診断で当科緊急入院となった.CT上,明らかなY脚の捻転や閉塞の原因となる腫瘤は確認できず,吻合部の屈曲や狭窄が閉塞の原因と考えられた.Y脚の早急な減圧が必要と判断し同日緊急手術を施行した.開腹所見でY脚は吻合部まで全体的に拡張していたが,吻合部に屈曲,腫瘤は認めず,吻合部の狭窄が疑われた.同部の切除再吻合を考えたがY脚の拡張,浮腫が著明であり吻合後の縫合不全を生じる可能性が高いと判断した.このため,吻合部のフィンガーブジーを施行し,イレウス管を開腹下にY脚に誘導し減圧した後,イレウス管をY脚に留置し手術を終了した.術後経過は良好で,症状,血液検査とも改善した.イレウス管より造影検査を行ったところ造影剤の吻合部からの流出は不良であった.吻合部の再狭窄が疑われたため,上部消化管内視鏡検査を施行した.イレウス管をガイドにY脚の吻合部を確認したところ,吻合部は内視鏡は通過しなかったが径は十分であった.吻合部よりY脚内を観察すると吻合部近傍に数個の結石を認め,この結石が輸入脚閉塞症の原因と判断した.吻合部のバルーンブジーを施行した後,内視鏡をY脚内に挿入し結石の採石を行った.輸入脚閉塞症は胃切除後に輸入脚の閉塞をきたす稀な合併症で,内ヘルニア,癒着,屈曲が主な原因であり,本症例のように腸石が原因となることは極めて稀である.治療は早期の減圧が必要なことと,輸入脚閉塞症の原因となるものに外科的治療が必要なものが多いため緊急手術が行われることが多いが,まずは内視鏡にて減圧および原因検索を試みることも重要であると思われた.
索引用語 輸入脚閉塞症, 腸石