セッション情報 | ポスターセッション(消化器内視鏡学会)胃-その他1 |
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タイトル | 内P-230:クローン病の胃・十二指腸病変 |
演者 | 武田 輝之(福岡大筑紫病院・消化器内科) |
共同演者 | 平井 郁仁(福岡大筑紫病院・消化器内科), 矢野 豊(福岡大筑紫病院・消化器内科), 高津 典孝(福岡大筑紫病院・消化器内科), 松井 敏幸(福岡大筑紫病院・消化器内科), 池田 圭祐(福岡大筑紫病院・病理部), 岩下 明徳(福岡大筑紫病院・病理部) |
抄録 | 【目的】本邦のクローン病(CD)診断基準では,主要所見の他に副所見として特徴的な胃・十二指腸病変が採択されている.胃・十二指腸病変はCD診断において重要視されているものの,多数例を詳細に検討した報告は少ない.そこで,当院におけるCD患者の胃・十二指腸病変の頻度,病変の詳細および生検の有用性について検討した.【方法】当院において2005年1月から2011年3月の間に,上部消化管内視鏡検査を施行したCD患者409例(710件)について検討した(男女比は260:149,平均年齢は34.6歳).CDの胃・十二指腸病変に特徴的な所見(典型病変)を,胃では竹の節状外観,不整形潰瘍(瘢痕含む),縦列傾向のアフタ・びらん,十二指腸では不整形潰瘍(瘢痕含む),ノッチ様陥凹,敷石像,縦列傾向のアフタ・びらん,ケルクリング襞の走行異常と定義し,これらの内視鏡所見及び,生検を施行した症例の非乾酪性類上皮細胞肉芽腫(肉芽腫)陽性率を解析した.【結果】発赤など軽微な所見を含めると,何らかの所見を有した症例は359例(87.8%)で,典型病変を有した症例は287例(70.2%)であった.胃では,竹の節状外観が230例(56.2%)と高頻度にみられ,不整形潰瘍は27例(6.6%),縦列傾向のアフタ・びらんは18例(4.4%)であった.十二指腸では,不整形潰瘍が80例(19.9%)と最も多く認められ,縦列傾向のアフタ・びらんは46例(11.4%),ケルクリング襞の走行異常が40例(9.9%),敷石像は21例(5.2%),ノッチ様陥凹は17例(4.2%),であった.狭窄は7例(1.7%)のみに認められた.生検は297例(72.6%)に施行され,初回生検時の肉芽腫陽性は30例(10.3%)であった. 【結論】CD患者における特徴的な胃・十二指腸病変の頻度は,70.2%と高率であり,CD診断における上部消化管内視鏡施行の意義は高いと考えられた.一方,初回検査時の肉芽腫陽性率は10.3%と比較的低かった.生検の有用性を明らかにするためには,実際の症例において肉芽腫検出がどれくらい確定診断に寄与しているかを検討する必要がある. |
索引用語 | クローン病, 上部消化管病変 |