セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-その他1

タイトル 内P-232:

バッグクロージャー (クイック・ロック)の誤嚥について

演者 奥田 雅人(住友別子病院・消化器内科)
共同演者 湯本 英一朗(住友別子病院・消化器内科), 松村 周治(住友別子病院・消化器内科), 松本 栄二(住友別子病院・消化器内科), 鈴木 誠祐(住友別子病院・消化器内科)
抄録 [背景]「食パンの袋を閉じる四角いプラスチック製のもの」と言えばほとんどの方に意味が通じるであろうが, 正式名称はバッグクロージャー(以下クロージャー)であり, Kwik Lok(クイック・ロック)社より全世界で販売されている. 外側に鋭い角はなく一見無害に見えるが, 誤嚥されると消化管の粘膜を咬み込み,イレウスや穿孔を起こすことが報告されている. [症例]66歳男性, 既往無し. クロージャーの誤嚥で当院救急外来を受診し, CTでは異物を認めずに帰宅. そのCTにて肺癌の指摘があり, 誤嚥4日後に呼び出された際, 無症状で上部内視鏡が行われた. クロージャーは十二指腸下行脚内壁を咬み込んで潰瘍を形成しており, 把持鉗子を用いて内視鏡的に除去した. [結果]これまでに報告された国内外の全症例を検討した. 本邦で2例, 海外で30例(カナダ13例・イギリス9例・アメリカ4例,・オーストラリア4例)の報告がある. 症例の平均年齢は62.7歳(32-82歳), 男性20例・女性12例・記載無し1例である. 小児の症例報告はない. 症状としては腹痛17例・貧血3例・発熱3例・タール便 2例・嚥下障害2例で, 11例が腸管穿孔・4例がイレウスと診断され, 4例の死亡が報告されている. クロージャーは食道(3例)・胃(2例)・十二指腸(13例)・小腸(13例, 内訳は回腸9例・空腸3例・記載無し2例)・大腸(1例)に認められ, 確認された体内残留期間の最長は4年である. 本邦の3例では内視鏡が施行され, 2例で内視鏡的に摘出されているのに対し, 海外30例では4例で内視鏡が施行され, 2例で内視鏡的に除去されている. 国内外の33症例中25例が外科手術となっている. レントゲン・CT・透視などの画像検査にて, 術前にクロージャーが指摘できた例はない. [考察・結語]クロージャーの誤嚥は重大なリスクであるとの認識が必要で, 摘出あるいは排出されない限り, その後数年に渡り致死的な合併症を発症する可能性があるため, 上下部内視鏡とカプセル内視鏡は必須と考え, 報告する.
索引用語 バッグクロージャー, クイック・ロック