セッション情報 | ポスターセッション(消化器内視鏡学会)胃-その他2 |
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タイトル | 内P-234:血液透析下における内視鏡治療の後出血の検討 |
演者 | 鈴木 美櫻(北海道大病院・消化器内科) |
共同演者 | 大野 正芳(北海道大病院・消化器内科), 大森 沙織(北海道大病院・消化器内科), 高橋 正和(北海道大病院・消化器内科), 森 康明(北海道大病院・消化器内科), 山本 純司(北海道大病院・消化器内科), 中川 学(中川胃腸科), 小野 尚子(北海道大病院・光学医療診療部), 中川 宗一(中川胃腸科), 間部 克裕(北海道大病院・光学医療診療部), 清水 勇一(北海道大病院・消化器内科), 加藤 元嗣(北海道大病院・光学医療診療部), 坂本 直哉(北海道大病院・消化器内科) |
抄録 | 【背景・目的】 日本では人工透析患者の増加に伴い,人工透析患者に対する内視鏡治療の機会も増加している.人工透析患者における処置では出血率が高いことは経験的に知られているが,明確な検討はなされていない.そこで,今回我々は人工透析下の内視鏡治療における後出血について検討した. 【方法】 当院及び同意を得られた全国18施設に対し,2009年~2011年の間人工透析下に行った治療内視鏡(胃EMR/ESD,大腸ESD/EMR)につき,後出血についての後ろ向き調査を行った.また,同時に各施設の各手技の総数・後出血数についても調査を行った. 【結果】 人工透析下に施行された治療内視鏡は,それぞれ胃EMR15例,胃ESD31例,大腸EMR64例,大腸ESD3例であった.後出血数は胃EMRにて3例(20.0%),胃ESDで8例(25.8%),大腸EMRで6例(9.3%)であり,大腸ESDでの出血はなかった.対する全体の後出血率は胃EMRにて2.8%(5/173),胃ESDでは5.0%(158/3128),大腸EMRでは1.3%(87/6268)であり,それぞれにおいてFisherの正確検定を行うと全てp<0.001であった.胃EMRでは出血した3例中1例,胃大腸EMRでは6例中3例が複数回の出血を来たしていた.胃ESDでは複数回の出血を来たした例はなかった. 一週間の透析回数,透析施行年数と後出血の間には明確な関連性は見られなかった.また,通常後出血のリスク因子となる年齢,抗血栓薬服用などについても明確な関連性は認めなかった.治療前後のフサン透析についても,施設により術前術後の施行回数は様々であり,フサン透析の回数と後出血には関連性は見られなかった. 【結語】 人工透析患者は出血性合併症のリスクが高いことが示唆された.しかし明確なリスクとなる背景因子はなく,透析そのものが出血のリスクとなっている可能性があり,人工透析患者においては術後により注意深い観察が必要と考えられる. |
索引用語 | 後出血, 人工透析 |