セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-その他2

タイトル 内P-235:

胃切除後の吻合部狭窄に対する内視鏡的バルーン拡張術

演者 小川 憲人(東京医歯大・食道・胃外科)
共同演者 神谷 綾子(東京医歯大・食道・胃外科), 佐藤 雄哉(東京医歯大・食道・胃外科), 中川 正敏(東京医歯大・食道・胃外科), 谷中 淑光(東京医歯大・食道・胃外科), 椙田 浩文(東京医歯大・食道・胃外科), 加藤 敬二(東京医歯大・食道・胃外科), 井ノ口 幹人(東京医歯大・食道・胃外科), 小嶋 一幸(東京医歯大・低侵襲医学研究センター), 杉原 健一(東京医歯大大学院・腫瘍外科学)
抄録 胃切除後の瘢痕狭窄の多くは吻合部に発生し,摂食障害をきたす.吻合部狭窄に対する拡張術の目的は食事の通過障害を改善し,患者のQOLを向上することである.これらの狭窄に対して内視鏡的拡張術が行われ,良好な成績が上げられているが,一方で具体的な手順,方法については一定の見解は得られていないのが現状である.今回,当科における胃全摘,Roux-en-Y再建後および幽門側胃切除,Roux-en-Y再建後の吻合部狭窄の発生率,治療経過を検討するとともに,吻合部狭窄に対する内視鏡的拡張術の手順を供覧する.当科では安全かつ簡便に拡張が行えるthrough-the-scope(TTS)型バルーンダイレーターを選択している.拡張術は出血や穿孔などの重篤な合併症を起こすこともあり注意を要する.安全に拡張術を行うためには,狭窄部の状態,適切なバルーン径の選択,バルーンダイレーターの挿入方法,拡張径(拡張圧)と拡張時間,患者の痛みの有無,の5点に注意して行うことが重要であると考えている.2008年1月から2012年12月までに胃全摘,Roux-en-Y再建を施行した138例中3例(2.2%)に,幽門側胃切除,Roux-en-Y再建を施行した292例中4例(1.4%)に吻合部狭窄を認めた.平均治療回数は3.8回で,平均治療期間は27.8日であった.合併症については1例に穿孔を認め,緊急手術,再吻合を要したが,止血処置を要する出血は認めなかった.術後狭窄の多くは数回の拡張で狭窄の改善が得られるが,難治性の瘢痕狭窄例では,長期にわたる拡張術が必要となることがある.今後,さらなる検討と最良の治療法の確立が期待される.
索引用語 吻合部狭窄, バルーン拡張