セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-その他2

タイトル 内P-236:

胃癌術後地域医療連携パスの作成・運用とその実際について

演者 塩飽 保博(京都第一赤十字病院・外科)
共同演者 吉田 憲正(京都第一赤十字病院・消化器内科)
抄録 【はじめに】当院では2007年より胃癌術後患者に対し地域医療連携パスを用いてかかりつけ医との間で医療連携を行っている.一方,地域医療連携パスは地域がん診療連携拠点病院では必須のもので,京都府でも府が中心となり連携パスの作成が行われた.今回両方のパスにつき検討を行った.【対象と方法】当院での対象は,胃切除後の患者のうちStageIで,紹介医でフォローアップを行っていく症例である.方法は,オーバービューのパスシートを患者自身が保有し,一ヶ月毎に諸症状を患者自身が記入,血圧,脈拍,腫瘍マーカー検査を含めた血液検査データ,処方内容などをかかりつけ医が診察時に記入していく.特に異常がなければ,当院で半年後に超音波検査を,一年後に胸部レントゲン,腹部CT,内視鏡検査を行い,その結果をパスシート記入する.目的は,当院とかかりつけ医,患者間のスムーズな情報の共有であるが,患者自身がパスシートに記入することにより,術後注意すべき点をより明確に認識することができ,診察もスムーズに行くようになった.また,消化器領域が専門でない紹介医でも,検査・治療の方向性が理解でき,フォローについて一定のレベルが保てるようになった(以上当院版).一方,京都府主導の連携パスについては,アウトカム・バリアンスを明確に出来ないため地域連携手帳となっている.対象は,当院と同じくStageIだが,内容は診察・検査予定表だけでなく,説明書・同意書や患者のプロフィール,術後の注意点についてなどの記載もあり,31ページの冊子となっている.手帳での連携は2011年9月より開始しており,現時点では当院版と症例によって使い分けている.【結語】地域医療連携パスは,かかりつけ医,病院共に患者の状態をより一層把握することができ,患者自身も自らの病状の理解を深め,治療に積極的に取り組めるようになり,非常に有効なツールと考えられた.地域での連携の共有には,自治体や医師会が中心となってパスの作成に当たることが必要と考えられた.
索引用語 地域医療連携パス, 胃癌