セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-鎮静1

タイトル 内P-247:

胃ESDにおけるプロポフォール鎮静法と唾液アミラーゼ活性測定を用いた鎮痛法の術中併用管理の工夫

演者 上里 昌也(千葉大・先端応用外科)
共同演者 鍋谷 圭宏(千葉県がんセンター・消化器外科), 堀部 大輔(千葉大・先端応用外科), 丸山 哲郎(千葉大・先端応用外科), 仙波 義秀(千葉大・先端応用外科), 松原 久裕(千葉大・先端応用外科)
抄録 【はじめに】プロポフォールには麻酔深度を調節しやすい特徴がある.しかし,その切れ味の良い薬剤だけに患者の状態を十分に把握する必要がある.我々は,ミダゾラムを使用したESD中の患者疼痛ストレスを,交感神経の興奮度(血中ノルエピネフリン濃度)と相関する唾液アミラーゼ活性値 (sAMY)を用いて評価し報告してきた.プロポフォール下にsAMYを測定することで,ESD患者の疼痛管理に寄与できるかを検討する.【目的】1)プロポフォールとミダゾラムを使用した胃ESD症例の特徴を比較する.2)鎮静中の適切な鎮痛薬使用基準を示す.【方法・結果】1)術前の収縮期血圧が術中に20%以上低下した症例は,ミダゾラム群(M群)12.5%(2/16例)/プロポフォール群(P群)58.3%(7/12例)であった.ESD後の覚醒までの時間は,フルマゼニルでリバースしたM群3.9±4.4分/P群8.2±2.0分であった.しかし,アンケートで「術後覚えていない」といった症例がM群で多かった.BIS値はM/P群間で有意差なし.ESD直後のsAMYはP群で低下していた.2)プロポフォールまたはミダゾラムで導入・維持された41症例を対象にsAMYを測定した.ESD中に意識は全例なかった.術中sAMYがESD当日朝の値を基準として2倍値を常に示したH-group 14例26回と,示さなかったL-group 19例16回の現象について検討した.sAMY高値時の体動の有/無は,H-group: L-group=17/9回:6/10回(P=0.07)であった.スコープの押し込みまたは過送気による胃壁伸展の有/無で,H-group: L-group =21/4回:8/8回(P=0.019)であった.H-group sAMY高値時のBIS値,最高血圧,脈拍に変化はみられず.【まとめ】1)プロポフォールはミダゾラム同様に,鎮静下胃ESDの周術期をsAMYとBIS値の推移をみることで安全に管理できると思われる.2)鎮静下で意識のない胃ESD患者も苦痛を受けている.その体動を伴わない術中苦痛状態を,術前sAMYの2倍値を基準として把握できる.
索引用語 唾液アミラーゼ, 鎮痛