セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-鎮静1

タイトル 内P-248:

有床診療所での胃ESD時におけるプロポフォール鎮静の安全性の検討

演者 鏑木 大輔(しらかわ診療所・群馬消化器内視鏡医療センター)
共同演者 小野里 康博(しらかわ診療所・群馬消化器内視鏡医療センター), 飯塚 春尚(しらかわ診療所・群馬消化器内視鏡医療センター), 蘇原 直人(しらかわ診療所・群馬消化器内視鏡医療センター), 萩原 聡(しらかわ診療所・群馬消化器内視鏡医療センター), 新井 理記(しらかわ診療所・群馬消化器内視鏡医療センター)
抄録 【はじめに】 近年,内視鏡治療時のプロポフォールを用いた鎮静の有用性が報告されている.しかし麻酔深度の調整し易さ・投与中止後覚醒の良好さなどプロポフォールには優れた点がある一方で,心肺機能抑制などの合併症も起こりうる.今回我々が経験した胃ESDの術中鎮静合併症を分析し,プロポフォール鎮静の安全性について検討した.
【対象と方法】当院にて2006年4月から2012年10月までにプロポフォール鎮静下で胃ESDを施行した1023例を対象とした.その内訳は男/女:725/242,平均年齢71.1歳であった.これらの症例の内,術中にバイタルサイン(以下VS)が大きく低下した症例(収縮期血圧80mmHg未満,酸素飽和度:80%未満,心拍数40/min未満)について検討を行った.鎮静導入は塩酸ペチジン17.5mg,プロポフォール1~0.8mg/kgを急速静注し行った.その後プロポフォール3mg/kg/時を持続静注し,鎮静が不十分な場合は適宜追加投与した.術中は麻酔専属の担当医1名を配置し,鎮静開始から終了までの血圧・脈拍・酸素飽和度・心電図及び各薬剤の総投与量等を記録した.
【結果】VS低下例は5.5%(56/1023)であった.その内訳は,男/女:49/7,平均年齢71.2歳(47~88),血圧低下例は13例,酸素飽和度低下例は11例,脈拍低下例は33例であった.VS低下群と非低下群を,性別・年齢・体重・BMI・鎮静時間・プロポフォール総投与量で比較した結果,低下例では男性が多く性別で有意差を認めた.VS悪化に対しては,酸素投与量の増量,硫酸アトロピンの投与,プロポフォールの減量等で殆どが対応可能であった.9症例でプロポフォールの投与中止かつ治療手技の中断を必要としたが,全症例とも最終的には合併症を認めずESDを完遂していた.
【結論】プロポフォールによる鎮静では時に大きなバイタルサインの低下が出現するが,厳重な患者観察及び投与薬剤の管理によって重篤な合併症を防ぎ,有床診療所でも安全にESDを行う事が可能であった.
索引用語 プロポフォール, ESD