セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

十二指腸-腫瘍

タイトル 内P-257:

内視鏡的に切除した胃型粘液形質を発現する十二指腸高分化型管状腺癌の1例

演者 河原 史明(神戸大附属病院・光学医療診療部)
共同演者 田中 心和(神戸大附属病院・光学医療診療部), 吉崎 哲也(神戸大附属病院・光学医療診療部), 石田 司(神戸大附属病院・消化器内科), 池原 伸直(神戸大附属病院・消化器内科), 森田 圭紀(神戸大附属病院・消化器内科), 豊永 高史(神戸大附属病院・光学医療診療部), 東 健(神戸大附属病院・消化器内科)
抄録 【背景】日常の診療において,十二指腸の上皮性腫瘍に遭遇する頻度は比較的低く,なかでも胃型粘液形質を発現する腫瘍は稀である.今回我々は,胃型粘液形質を発現する十二指腸高分化型管状腺癌に対して内視鏡的切除を行なった1例を経験したため,その内視鏡的特徴,組織学的特徴について若干の文献的考察も含めて報告する.【症例】症例は70歳の男性.近医にてスクリーニング目的で上部消化管内視鏡検査を施行された際,十二指腸に病変を指摘され当科へ紹介となった.通常観察では球部前壁に約30mm大の亜有茎性の隆起性病変を認めた.病変は分葉傾向にあり軟らかく,全体的にやや発赤調だが一部白色の沈着物を認めた.また病変基部の周囲には,拡張した絨毛構造を有する平坦な隆起を伴っていた.NBI拡大観察では隆起部に乳頭状構造が観察され,頂部では拡張した不整な血管を認めた.生検でBorderline lesionと診断されたためtotal biopsy目的でEMRを行った.病理組織結果は比較的小型で管状に密に増殖する異型腺管が認められ,高分化型管状腺癌と診断された.免疫染色では上皮にCD10陽性の微絨毛は観察されず,細胞質はMUC6,MUC5AC共に陽性を示した.Ki-67陽性細胞は上皮の表層までやや目立つ所見であった.また,標本内に胃底腺組織は見られなかった.【考察】胃型粘液形質を発現する十二指腸上皮性腫瘍の報告は少なく,その性質はまだ明らかになっていない.本症例は,病理所見より胃上皮化生またはBrunner腺に由来する腺癌を疑ったが,腫瘍の起源を特定するのは困難であった.今後,症例の蓄積ならびに内視鏡と病理組織の対比を行い,生物学的な特徴を明らかにしていくことが重要と考えられる.【結論】内視鏡的に切除した胃型粘液形質を発現する十二指腸高分化型管状腺癌の1例を経験した.
索引用語 十二指腸癌, 胃型