セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

十二指腸-ステント

タイトル 内P-262:

悪性胃十二指腸狭窄に対するステント留置の有用性

演者 大橋 暁(名古屋掖済会病院・消化器科)
共同演者 神部 隆吉(名古屋掖済会病院・消化器科), 岩田 浩史(名古屋掖済会病院・消化器科), 水谷 佳貴(名古屋掖済会病院・消化器科), 泉 千明(名古屋掖済会病院・消化器科), 西川 貴広(名古屋掖済会病院・消化器科), 奥藤 舞(名古屋掖済会病院・消化器科), 橋口 裕樹(名古屋掖済会病院・消化器科)
抄録 【背景】切除不能な胃癌・膵癌などによる胃十二指腸狭窄に対して,従来は経鼻胃管による減圧あるいは胃空腸吻合によるバイパス術が行われてきた.2010年4月に胃十二指腸ステントが市販・保険収載され,悪性胃十二指腸狭窄の治療に用いることが可能となった.今回当院で胃十二指腸ステント留置を行った症例について,その臨床的有用性の検討を行った.【対象】2010年9月から2013年2月までに28症例に対して胃十二指腸ステント留置を行った.疾患の内訳は,胃癌17例,膵癌5例,十二指腸癌(乳頭部癌を含む)3例,胆嚢癌3例であった.ステントはBoston Scientific社製 WallFlex Duodenal Stentを使用した.【結果】留置に伴う合併症は認めなかった.留置後72時間で最大拡張となるのを待って食事を開始し,全例で経口摂取が可能となった.平均観察期間は2.9ヶ月で,最長は13ヶ月であった.8例(28.5%)に対して,経口摂取可能となり全身状態の改善が得られたため化学療法を施行した.2例で腫瘍のingrowthによりステント閉塞をきたしたため,stent in stentによる再留置を行った.1例で胆管ステント留置後の十二指腸狭窄に対して胃十二指腸ステントの留置を行ったところ,当初は胆汁うっ滞を認めなかったが,約1ヵ月後に閉塞性黄疸をきたしたため経皮的胆管ドレナージを施行した.ステントの脱落・位置ずれをきたした症例は認めなかった.【結語】悪性胃十二指腸狭窄に対して,経鼻胃管は患者の苦痛が強く経口摂取が困難である.バイパス術は終末期の緩和的治療として行うには身体的負担が大きい.胃十二指腸ステントは十分な狭窄解除の効果が得られ,合併症もみられなかった.またステント閉塞に対して再留置が有効であった.胃十二指腸ステントは切除不能の悪性狭窄に対する治療の選択肢として有用であると思われた.
索引用語 胃十二指腸ステント, 狭窄治療