セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

十二指腸-症例その他

タイトル 内P-268:

十二指腸穿孔による後腹膜膿瘍を来した十二指腸ガストリノーマ再発の1例

演者 耕崎 拓大(高知大・消化器内科)
共同演者 永田 友梨(高知大・消化器内科), 木岐 淳(高知大・消化器内科), 麻植 啓輔(高知大・消化器内科), 西原 利治(高知大・消化器内科), 宗景 匡哉(高知大・1外科), 花崎 和弘(高知大・1外科), 濱田 典彦(高知大・放射線科), 西岡 明人(高知大・放射線科), 松本 学(高知大・病理学), 弘井 誠(高知大・病理学)
抄録 【症例】67歳,男性.【主訴】腹痛,発熱.【既往歴】糖尿病,B型慢性肝炎,右副甲状腺腺腫.下垂体腫瘍なし.【現病歴】63歳時に肝転移を有する十二指腸ガストリノーマ(WHO分類G2)にて十二指腸部分切除および肝切除術を施行されていた.その後,gastrin値は190~940 pg/mlの範囲で推移していた.67歳時に心窩部痛および発熱を認め近医を受診し腹部膿瘍を指摘され紹介となる.【経過】入院時のCTでは後腹膜腔に最大径10cmの気腫を伴う膿瘍形成を認めた.腹部超音波下に経皮的ドレナージチューブを挿入し,緑白色調の膿の排出を認め,培養ではPseudomonas aeruginosa,Enterococcus faecium,Candida albicansの発育を認めた.上部内視鏡では十二指腸下行脚に多発潰瘍を認め,1箇所潰瘍部の穿孔を認め内視鏡的にクリッピングを施行した.保存的に加療し約2ヶ月後には後腹膜膿瘍は治癒した.また入院時のgastrin値は3000 pg/ml以上で発症2ヶ月前の590 pg/mlから急上昇していた.CTでは膵尾部には以前より指摘される1.5cmの造影効果を有する腫瘤を認めた.肝病変はCTでは描出不能であったが,EOB-MRIにて約3mmの腫瘤を4個認めた.肝病変は体外式超音波では描出不能であったが膵病変に対するEUS-FNAで神経内分泌腫瘍を認めた.SACI試験では左右肝動脈および胃十二指腸動脈が陽性であった.外科的に膵尾部切除および肝病変に対して術中RFAを施行した.膵病変はWHO分類G1で免疫染色ではgastrin陰性であった.術後gastrin値は低下したが560~1100 pg/mlで推移しており,分子標的薬の導入を勧めたが,patientの希望でオクトレオチドを導入し経過観察している.【考察】現在画像的に腫瘍を認めないが,SACI試験で胃十二指腸動脈が陽性であり,またgastrin値も高値でslow growthであるが担癌状態と思われ厳重な経過観察を行っている.
索引用語 ガストリノーマ, 十二指腸穿孔