セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

十二指腸-症例その他

タイトル 内P-269:

当院で経験した上腸間膜動脈症候群の4例

演者 竹下 枝里(国立嬉野医療センター・消化器内科)
共同演者 白石 良介(国立嬉野医療センター・消化器内科), 行元 崇浩(国立嬉野医療センター・消化器内科), 三根 祥一郎(国立嬉野医療センター・消化器内科), 磯田 広史(国立嬉野医療センター・消化器内科), 北山 素(国立嬉野医療センター・消化器内科), 有尾 啓介(国立嬉野医療センター・消化器内科), 角川 淑子(国立嬉野医療センター・消化器内科), 綱田 誠司(国立嬉野医療センター・消化器内科)
抄録 【はじめに】上腸間膜動脈(以下SMA)症候群は,十二指腸水平脚がSMAと大動脈や脊椎の間で圧迫され通過障害を生じ,十二指腸の閉塞症状を来す疾患である.今回われわれは様々な機序で発症したSMA症候群4例を経験したので報告する.【症例1】13歳男児.BMI 15.0.剣道部所属.遷延する食後の嘔吐・腹痛のため小児科を受診.便秘およびストレス性と診断されるも改善なく当科紹介.病歴および腹部CT,消化管造影でSMA症候群と診断した.入院の上,輸液・経腸栄養を行い軽快した.【症例2】29歳女性.管理栄養士.BMI 15.7.夕食後に腹満と強い上腹部痛を認めたため救急外来を受診.腹部CTでSMA症候群が疑われ緊急入院.胃管挿入と絶食・輸液で軽快した.消化管造影で確定診断となり,下垂胃も認めた.病歴より摂食障害(過食発作)が疑われた.【症例3】87歳男性.BMI 13.8.肺炎および食欲不振の精査加療中,上行結腸癌を認めたため右半結腸切除術を施行.術後,腹満・嘔吐を認め,腹部CT,消化管造影でSMA症候群と診断した.W-EDチューブを用いた経腸栄養を行い軽快した.【症例4】9歳男児.BMI16.3食後の嘔吐,やせを主訴に来院.消化管造影,腹部造影CTでSMA症候群と診断した.食後の体位変換にて軽快した.【考察】全例に体重減少・やせを認めた.加えて,症例1,2では体重増加を伴わない身長増加,症例2では下垂胃や摂食障害,症例3では長期臥床や消化管手術などの要因が加わり発症したものと思われた.いずれの症例も保存的治療で軽快し退院した.【結語】発症機序の異なる4例のSMA症候群を経験した.SMA症候群は,比較的稀な疾患とされるが,高位イレウスや上腹部不定愁訴の原因の一つとして常に念頭にいれる必要があると考えられた.
索引用語 SMA症候群, 十二指腸水平脚