セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

十二指腸-症例その他

タイトル 内P-271:

当科にて経験した十二指腸過誤腫の3例

演者 岩津 伸一(佐世保市立総合病院・消化器科)
共同演者 山尾 拓史(佐世保市立総合病院・消化器科), 中鋪 卓(佐世保市立総合病院・消化器科), 森崎 智仁(佐世保市立総合病院・消化器科), 法村 大輔(佐世保市立総合病院・消化器科), 小澤 栄介(佐世保市立総合病院・消化器科), 大仁田 賢(長崎大病院・消化器内科), 中尾 一彦(長崎大病院・消化器内科)
抄録 症例1:53歳男性.心窩部痛精査のため近医の上部消化管内視鏡検査で十二指腸乳頭部腫瘍を指摘され紹介.身体所見に異常は認めず,内視鏡検査で腫瘍は約4cm大の亜有茎性腫瘤であり,生検ではgroup 3, villous adenomaであった.腫瘍による通過障害が心窩部痛の原因と判断し,内視鏡的切除が困難なため全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.一過性の残存膵炎とそれに伴う呼吸不全が出現したが軽快治癒した.病理組織結果はPeutz-Jeghers型過誤腫であった.症例2:66歳男性.心窩部不快感のため近医で上部消化管内視鏡検査施行され,十二指腸乳頭部から肛門側に隆起性病変を認められたため紹介.腫瘍は約4cm大の亜有茎性腫瘤であった.十二指腸造影で水平脚にかかる腫瘍で,生検は腺腫の診断であった.病変の範囲と形態から内視鏡的切除は困難と思われ十二指腸部分切除術を施行した.病理組織結果は過誤腫で局在性に管状腺腫を認めた.症例3:76歳男性.上部消化管内視鏡検査で副乳頭付近に約2cm大で亜有茎性の隆起性病変を認め,腫瘍性病変が疑われ,精査加療目的で当院紹介.上部消化管内視鏡検査,超音波内視鏡検査,低緊張性十二指腸造影検査では,主乳頭のやや口側に23×17mm大の腫瘤を認め,隆起表面には腺管様の小開口部を数か所認めた.副膵管発生腫瘍も疑われERCPを行ったが,副膵管は低形成で,副乳頭への造影剤流入は認めず,副乳頭発生腫瘍の同定は困難であった.生検再検は炎症性変化であったが,各種画像検査から腫瘍性病変や過誤腫などが疑われた.短期間に増大傾向にあったが深部浸潤を認めないことより内視鏡的治療を行なった.病理組織結果はBrunner腺過誤腫であった.十二指腸過誤腫は十二指腸に生じる隆起性病変として稀な疾患で,その診断や治療方針に関しては慎重を要する.今回我々は十二指腸下行脚に生じた隆起性病変に対して治療を行なった十二指腸過誤腫3例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 十二指腸腫瘍, 過誤腫