セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

小腸-症例その他1

タイトル 内P-282:

柿胃石陥頓による小腸閉塞に対し,小腸内視鏡下に胃石破砕を行い閉塞解除し得た2例

演者 松浦 友春(静岡市立清水病院・消化器内科)
共同演者 窪田 裕幸(静岡市立清水病院・消化器内科), 池田 誉(静岡市立清水病院・消化器内科), 川崎 真佑(静岡市立清水病院・消化器内科), 小池 弘太(静岡市立清水病院・消化器内科)
抄録 【症例1】81歳女性.胃癌に対して幽門側胃切除(Billoth I法)の既往あり.受診の3日前から嘔気・嘔吐があり,食事摂取困難となり当院受診した.来院時下腹部に手拳大の可動性良好な硬結腫瘤を触知し,腹部X線では小腸ガス像を認め,CTでは拡張した小腸の末端に含気性で不均一な濃度の卵円形腫瘤性病変(55x35mm)を認めた.経鼻イレウス管を挿入し造影すると楕円形の境界明瞭な透亮像を認め,食餌性腸閉塞と判断した.【症例2】82歳男性.手術歴なし.来院1か月前から胃部不快感を自覚し,前日に10回以上の嘔吐を認め当院受診した.来院時腹部は膨満し,CTで上部小腸の拡張と拡張腸管末端に症例1と同様な腫瘤性病変(51x40mm)を認めた.上記CT所見から食餌性腸閉塞が疑われた.小腸内視鏡(シングルバルーン)施行したところ,小腸内に嵌頓し可動性なく,表面硬く凸凹のある結石を認めた.2例とも柿の多食歴があったため柿胃石と推定した.【治療】2症例とも上部空腸の胃石陥頓であり,小腸内視鏡下に結石に対してコカ・コーラの局注および鰐口鉗子やスネアによる破砕を行ったところ2例とも小結石まで破砕することが可能であり,閉塞を解除し得た.結石の成分分析にて主成分はタンニン酸で柿胃石と診断した.【考察】胃石による腸閉塞は稀な疾患であるが,最近は画像の発達により診断される症例が増えている.胃十二指腸内の胃石に対し内視鏡的な破砕を行ったという報告は散見されるが,胃石陥頓による小腸閉塞となった症例に対し内視鏡的治療を行ったとの報告はなかった.通常,胃石が小腸嵌頓した場合は腸切除による治療が一般的である.今回我々は胃石の小腸陥頓による腸閉塞に対して小腸内視鏡下に胃石の破砕を行い,閉塞解除をし得た2症例を経験した.胃石による小腸閉塞に対して内視鏡的治療をしたとの報告はなく稀な症例と思われた.
索引用語 胃石, 腸閉塞