セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

小腸-症例その他2

タイトル 内P-285:

腸閉塞を契機に診断された胃,小腸,肺同時性MALTリンパ腫の1例

演者 大塚 裕之(東海中央病院・消化器内視鏡センター)
共同演者 水谷 泰之(東海中央病院・消化器内視鏡センター), 藤塚 宜功(東海中央病院・消化器内視鏡センター), 石川 英樹(東海中央病院・消化器内視鏡センター), 中村 正直(名古屋大大学院・消化器内科学), 大宮 直木(名古屋大大学院・消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大大学院・消化器内科学)
抄録 【症例】60代,男性【主訴】腹痛【既往歴】右副腎腫瘍【現病歴】平成24年10月,腹痛あり近医受診し腸閉塞の診断で入院,保存的に軽快し退院.入院時のCTで回腸の壁肥厚を認め,小腸精査目的で当院紹介受診.【経過】当院外来にてカプセル内視鏡検査を施行,カプセルの停滞を認め大学病院を紹介受診.入院後に経口的DBE施行,幽門に不整陥凹,白苔を有する深い陥凹あり,深部挿入を断念し,経肛門的DBEでは下部空腸に狭窄あり,カプセル内視鏡の口側での停滞を認めた.狭窄の辺縁は比較的整で境界明瞭であり,病理結果はMALT Lymphoma であった.EGDでは前庭部前壁中心に3/4周の3型胃癌を認め,潰瘍の辺縁は不整で送気による拡張も不良,EUSでの深達度はmp以深と考えられた.また,体下部小弯,体中部大弯,体上部前壁に襞集中を伴う陥凹性病変を認め,EUSではMALTリンパ腫を疑う所見であった.PET-CTでは小腸腫瘤に加え,左下肺葉にも集積を認めた.前庭部3型胃癌+小腸MALTの診断で,外科で開腹幽門側胃切除,胆嚢摘出術,回腸部分切除を施行.回腸MALTリンパ腫による狭窄は容易に視認され一括切除,カプセル内視鏡も摘出された.病理結果は#1胃癌 stageIB poorly differentiated adenocarcinoma, non-solid type(por2), int, INFc, ly2, v1, pT2(MP), pN0, pPM0, pDM0 #2小腸狭窄 MALT lymphoma, stomach, duodenum であった.また,肺病変については当初炎症性変化と考えられていたが,呼吸器内科でTBLB施行され,肺MALTと診断された.以上より,胃,小腸,肺同時性MALTリンパ腫と診断された.【考察】消化管MALTリンパ腫は胃に発生することが多く,小腸MALTリンパ腫は比較的稀である.また,胃,小腸同時発生の報告も少ない.一方リンパ腫による腸閉塞の報告は圧倒的に腸重積によるものが多い.小腸リンパ腫による狭窄が原因で発症した腸閉塞を契機に診断された胃,小腸,肺同時性MALTリンパ腫の1例を報告する.
索引用語 小腸MALT, カプセル内視鏡