セッション情報 | ポスターセッション(消化器内視鏡学会)小腸-症例その他2 |
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タイトル | 内P-286:回盲部周囲炎を契機にその疾患が疑われ,保存的治療にて軽快後に大腸内視鏡検査にて術前確定診断し得た,成人回腸重複腸管症の1例 |
演者 | 宇田川 勝(とりで総合医療センター・外科) |
共同演者 | 分島 良(とりで総合医療センター・外科), 奥野 圭祐(とりで総合医療センター・外科), R. Adikrisna(とりで総合医療センター・外科), 岡本 浩之(とりで総合医療センター・外科), 江藤 徹哉(とりで総合医療センター・消化器内科), 白崎 友彬(とりで総合医療センター・消化器内科), 三浦 夏希(とりで総合医療センター・消化器内科), 伊東 英里(とりで総合医療センター・消化器内科), 北村 まり(とりで総合医療センター・消化器内科), 湊 志仁(とりで総合医療センター・消化器内科), 稲留 征典(とりで総合医療センター), 谷畑 英一(とりで総合医療センター) |
抄録 | 症例は77歳の女性で,2012年9月上旬に右下腹部痛を主訴に当院内科を受診.超音波検査やCT検査にて終末回腸の憩室炎とそれによる穿孔性腹膜炎の診断にて外科紹介となり,抗生物質などによる保存的治療にて軽快退院となった.その後外来にて注腸検査を施行したところ,終末回腸の回盲弁近傍に突出する約3~4cmの嚢状腸管が描出され,憩室というよりは回腸重複腸管症が疑われたため,更に大腸内視鏡検査を施行した.盲腸から直腸・肛門までは特記所見はなく,回盲弁を越えて目の前の部位に弁様のSlitを認めた.Slitの脇には通常の終末回腸のルートに挿入可能であることを確認した上で,同Slitを越えてScopeを挿入したところ,約3cmの嚢状腸管で盲端となっており,一部に瘻孔を疑わせる狭窄部位を有していた.この嚢状部は所謂通常の終末回腸の粘膜を有しており,色素染色では特徴的な所見は得られず,また数ヶ月前の炎症所見も回盲部全体を通して認められなかった.この所見から回腸重複腸管症と診断し得た.また,99mTcシンチグラフィーにて同部に異所性胃粘膜を疑わせる陽性所見が得られたため,潰瘍化からの出血や胃癌の発生,さらに初回同様の炎症の再燃予防目的に回盲部切除術施行となった.成人の回腸重複腸管症は腹膜炎の術後に診断される症例が多いため,本症例は回盲部の腹膜炎が保存的治療により軽快したという点で条件に恵まれていたが,大腸内視鏡検査の際には本症の様な疾患も念頭に置いた,終末回腸を含む十分な精査が必要であると思われた.また,成人の回腸重複腸管症は比較的稀な疾患であるため,若干の文献的考察を加えて報告する. |
索引用語 | 回腸重複腸管症, 異所性胃粘膜 |