セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

小腸-症例その他3

タイトル 内P-288:

蛋白漏出性胃腸症を呈したセリアック病の1例

演者 碓井 遼(北里大・外科)
共同演者 中村 隆俊(北里大・外科), 三浦 啓寿(北里大・外科), 筒井 敦子(北里大・外科), 渡邊 昌彦(北里大・外科)
抄録 要旨:症例は77歳女性.下痢・嘔吐・腹痛を主訴に当院を紹介受診した.初診時の血液生化学検査でT.P 4.6 g/dL,Alb 2.3 g/dLと低蛋白血症を認めた.上部及び下部消化管内視鏡検査では明らかな異常所見は認めなかった.低蛋白血症の原因として蛋白漏出性胃腸症を疑い99mTc-HASシンチグラフィを施行したところ,小腸(空腸)からの蛋白漏出を認めた.小腸造影検査では空腸に14cmにわたる全周性の壁不整な狭窄を認めた.小腸内視鏡検査では空腸に白苔を伴う不整形の潰瘍が多発していた.生検結果は高度なリンパ球主体の炎症細胞浸潤を認めた.外科手術を考慮し,病変部の口・肛門側に点墨及びクリッピングを施行した.以上の検査結果から,蛋白漏出胃腸症を呈する空腸多発潰瘍の診断で腹腔鏡下補助下小腸部分切除術を施行した.切除検体肉眼像は空腸に約43cmにわたり粘膜は浮腫状で小糜爛や潰瘍が散在していた.病理組織学的所見は絨毛の短縮及び上皮内リンパ球浸潤を全体に認め,セリアック病と診断した.術後経過良好で第10病日に退院となった.術後約1ヶ月後の血液生化学検査ではT.P 7.1 g/dL,Alb 3.8 g/dLと低蛋白血症は改善していた.今回,蛋白漏出性胃腸症を呈したセリアック病に対して腹腔鏡補助下に手術を施行し得た非常な稀な1例を経験したので報告する.
索引用語 セリアック病, 蛋白漏出性胃腸症