セッション情報 | ポスターセッション(消化器内視鏡学会)小腸-NSAIDs小腸粘膜傷害 |
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タイトル | 内P-290:関節リウマチ患者におけるNSAIDs小腸粘膜傷害に対するメサラジンの有用性および粘膜傷害のリスク因子に関する検討 |
演者 | 井上 隆弘(大阪大大学院・消化器内科学) |
共同演者 | 飯島 英樹(大阪大大学院・消化器内科学), 有光 潤介(大阪大・免疫アレルギー内科), 萩原 圭祐(大阪大・免疫アレルギー内科), 川井 翔一朗(大阪大大学院・消化器内科学), 白石 衣里(大阪大大学院・消化器内科学), 日山 智史(大阪大大学院・消化器内科学), 向井 章(大阪大大学院・消化器内科学), 新崎 信一郎(大阪大大学院・消化器内科学), 西田 勉(大阪大大学院・消化器内科学), 緒方 篤(大阪大・免疫アレルギー内科), 辻井 正彦(大阪大大学院・消化器内科学), 竹原 徹郎(大阪大大学院・消化器内科学) |
抄録 | 【目的】関節リウマチ(RA)においては,関節腫脹や疼痛に対してNSAIDsが治療初期から用いられることが多いが,小腸粘膜傷害のリスク因子や治療法は確立していない.メサラジンは活性酸素やLTB4を抑制し,動物実験における改善効果が報告されている.そこで,NSAIDs服用RA患者において,1)メサラジンの小腸粘膜傷害に対する改善効果を検討すること,2)小腸粘膜傷害のリスク因子を明らかにすること,を目的とした.【方法】1)NSAIDs服用RA患者に対し,メサラジン2000mgを8週間投与し,投与前後のカプセル内視鏡(VCE)所見,便中カルプロテクチン値,臨床検査値を検討した.2)当院にてVCEを施行したRA患者の患者背景因子を調査した.【成績】1)10例(平均年齢63歳,男女比3/7,平均罹病期間2.8年)に投与を行い,重篤な有害事象は認められなかった.粘膜傷害度スコア(ルイススコア)は577±478から500±621,便中カルプロテクチンは250±226から139±129(ng/mL)へと低下したが有意差は認められなかった.また,CRPは0.78±0.78から0.34±0.40へと有意に低下したが(P=0.02),MMP-3やヘモグロビン値には差はなく,RA活動度の悪化は認めなかった.2)VCE施行例は31例(平均年齢59歳,男女比10/21,平均罹病期間2.8年)であり,NSAIDsの内訳はジクロフェナク21例,ロキソプロフェン8例,その他2例であった.VCE所見と患者背景因子との相関を検討すると,ジクロフェナク投与例がロキソプロフェン投与群に比し有意にルイススコア高値であり(P=0.02),粘膜傷害が高度であった.【結論】メサラジンはRA患者のNSAIDs小腸粘膜傷害改善には寄与しない可能性が示唆された.ジクロフェナク投与例においてはNSAIDs小腸粘膜傷害のリスクが高く,慎重に経過観察する必要があると考えられた. |
索引用語 | NSAIDs, カプセル内視鏡 |