セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

小腸-NSAIDs小腸粘膜傷害

タイトル 内P-294:

高齢者におけるNSAIDs起因性小腸粘膜障害のカプセル内視鏡による検討

演者 表 静馬(国立福山医療センター・内科)
共同演者 豊川 達也(国立福山医療センター・内科), 岡本 明子(国立福山医療センター・内科), 宮阪 梨華(国立福山医療センター・内科), 渡邊 一雄(国立福山医療センター・内科), 藤田 勲生(国立福山医療センター・内科), 村上 敬子(国立福山医療センター・内科), 友田 純(国立福山医療センター・内科)
抄録 【目的】近年,カプセル小腸内視鏡(VCE)の登場により,小腸の非侵襲的検索が可能となり低用量アスピリンを含むNSAIDs(以下NSAIDs)による小腸粘膜障害を発見する機会が増加している.一方で高齢化に伴いNSAIDsを服用する高齢者に対しVCEを施行する機会も増加している.今回我々はNSAIDsが起因する高齢者の小腸粘膜障害について,非高齢者及び非NSAIDs内服者と比較検討することで検証したので報告する.【方法】対象は当院にて2009年4月より2012年12月までにVCEを施行した157例である.これらを70歳以上の高齢者74例と非高齢者83例,NSAIDSの定期内服歴のある46例と内服の無い111例にそれぞれ層別化し,患者背景,びらん・発赤,出血の有無,偶発症について比較検討した.【成績】患者背景は非高齢者では男性の割合が76%と女性よりも多かったのに対して,高齢者では男性の割合が49%と有意に少なかった.また,VCEの施行理由としては高齢者例,非高齢者例ともに原因不明の消化管出血や貧血精査が大部分を占めたが,非高齢者ではそれ以外の理由(下痢精査,小腸精査等)も33%となった.VCE所見としてはびらん・発赤を認めた症例が高齢者例で81%と非高齢者の61%より有意に多かった.またNSAIDs内服例では,全年齢層においてびらん・発赤を85%に認め,非内服例65%に比べ有意に多かったが,高齢者ではNSAIDs内服中の28例中24例(86%)にびらん・発赤を認め,非内服例(78%)と比べて有意差はなかった.また,偶発症についてはNSAIDs内服中の高齢者で小腸狭窄によるVCEの停留を認め,手術により狭窄解除,VCE回収を行った.その他,明らかな偶発症は認めなかった.【結論】本研究にて小腸粘膜障害は高齢者およびNSAIDs使用者で有意に高頻度であることが判明した.今後はその予防,対応につき検討していく必要があると考えた.
索引用語 NSAIDs, カプセル内視鏡