セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

小腸-カプセル内視鏡1

タイトル 内P-297:

原因不明消化管出血(OGIB)を有する肝硬変症例におけるカプセル内視鏡検査(VCE)の有用性の検討

演者 久保川 賢(麻生飯塚病院・消化器内科)
共同演者 赤星 和也(麻生飯塚病院・消化器内科), 金山 兼司(麻生飯塚病院・消化器内科), 岩尾 梨沙(麻生飯塚病院・消化器内科), 蓑田 洋介(麻生飯塚病院・消化器内科), 本村 廉明(麻生飯塚病院・消化器内科), 濱田 匠平(麻生飯塚病院・消化器内科), 福田 慎一郎(麻生飯塚病院・消化器内科), 大塚 宜寛(麻生飯塚病院・消化器内科), 宜保 淳也(麻生飯塚病院・消化器内科), 中村 和彦(九州大・病態制御内科)
抄録 【目的】肝硬変症例では,静脈瘤出血以外にも原因不明の消化管出血を来すことが少なくない.今回OGIBを有する肝硬変症例におけるVCEの有用性につき検討を行った.【方法】OGIB(黒色便;7例,暗赤色血便;1例,貧血進行;5例)に対して2008年5月より2012年12月までの間に当科でVCEを行った肝硬変症例13例を対象に,VCE所見をretrospectiveに解析し,その臨床的有用性を検討した.症例の内訳は男性6例,女性7例で,平均年齢は64.1歳(49歳~81歳).肝硬変の成因は,アルコール性7例,HCV 3例,HBV 1例,非B非C2例で,肝機能はchild分類 A 1例,B 10例,C2例,肝癌合併例は3例であった.併存疾患は,腎疾患3例,心疾患1例で,服用歴は,抗血栓薬1例,NSAIDs0例,PPI11例であった.静脈瘤の治療歴を6例に認めた.VCEはGIVEN社製PillCamTM SB1およびSB2を使用し,解析ソフトはRAPIDR5 Accessを使用した.【結果】11例(85%)で全小腸が観察可能であった.滞留を含めた偶発症は1例も認めなかった.VCEの所見としては,浮腫9例(69%),小発赤点10例(77%),angiodysplasia9例(69%),小腸静脈瘤3例(23%),活動性出血のため,観察困難1例(8%)であった.活動性出血を5例(38%)に認めたが,1例は出血のため粘膜面の評困困難で,1例は小発赤点からのびまん性出血,1例はGAVE,2例は結腸の毛細血管拡張からの出血であった.いずれも治療としては,絶食・補液による保存的加療のみであった.【結論】肝硬変症例におけるOGIBでのVCE出血源同定率は,40%と低率ではあったが,上下部内視鏡で同定できなかった出血源を同定できたものもあり,補足的検査として有用であった.今後さらなる症例の蓄積と検討が必要と思われる.
索引用語 VCE, 肝硬変