セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

小腸-カプセル内視鏡2

タイトル 内P-304:

カプセル内視鏡の滞留をきたした原発性小腸癌の2例

演者 若松 周司(市立吹田市民病院・消化器内科)
共同演者 奥田 悠季子(市立吹田市民病院・消化器内科), 長谷川 大(市立吹田市民病院・消化器内科), 笹川 廣和(市立吹田市民病院・消化器内科), 湯口 清徳(市立吹田市民病院・消化器内科), 長生 幸司(市立吹田市民病院・消化器内科), 井上 信之(市立吹田市民病院・消化器内科), 黒島 俊夫(市立吹田市民病院・消化器内科)
抄録 【症例1】60代,男性.特記すべき既往なし.平成23年12月に貧血と便潜血反応陽性を認めた.平成24年2月の上下部消化管内視鏡で出血源はなく,2回目の便潜血反応でも陽性であったため,7月に当院紹介.Obscure GI Bleeding(OGIB)と考え小腸カプセル内視鏡(CE)を施行.小腸潰瘍病変を認め,カプセルは滞留した.経口的ダブルバルーン小腸内視鏡(DBE)でTreitz靱帯から20cmの空腸に全周性の2型進行癌による高度狭窄像あり.カプセルを認め,スネアで把持し回収した.生検で高分化型腺癌(tub1)が検出され,8月に腹腔鏡下小腸部分切除術を施行した.【症例2】80代,女性.平成21年狭心症に対しステントを留置,以後アスピリンの定期内服歴あり.平成24年4月に息切れを主訴に他院を受診し,上部消化管内視鏡で早期胃癌を認めESDを施行.病理検査結果は高分化型腺癌(tub1)で断端陰性であった.9月に貧血が進行,上下部内視鏡検査で出血源はなく,CTで小腸壁肥厚像あり.OGIB疑いで当院紹介.10月にAgile-J patency capsule(AJP)で開通性を確認の上でCEを施行.小腸多発潰瘍病変を認め,カプセルは滞留した.経口的DBEで空腸に小潰瘍の散在と瘢痕形成,肛門側に全周性の潰瘍瘢痕狭窄像あり.カプセルを認め,スネアで把持し回収した.生検で低分化型腺癌(sig)が検出され,免疫染色はCDX2陽性であり消化管原発腫瘍が示唆された.経肛門的DBEで同部肛門側に潰瘍病変を認めたが生検で悪性所見を検出しなかった.12月に開腹小腸部分切除術を施行した.近年,CEやバルーン内視鏡により小腸疾患の検出率が向上しているが,CE特有の合併症として滞留がある.2012年7月に保険適応となり,CE前にAJPで開通性を確認することが可能となった.しかし症例2はAJPで開通性を確認したにも関わらず病変の進行によりカプセルの滞留をきたした.今回,我々は癌性狭窄によりカプセルの滞留をきたした原発性小腸癌を2例経験したので若干の文献的考察を含めて報告する.
索引用語 滞留, 小腸癌