セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

小腸-炎症性腸疾患

タイトル 内P-310:

潰瘍性大腸炎関連,胃十二指腸,小腸病変の検討

演者 内野 基(兵庫医大・外科(下部消化管外科)DELIMITER兵庫医大・炎症性腸疾患センター)
共同演者 池内 浩基(兵庫医大・外科(下部消化管外科)DELIMITER兵庫医大・炎症性腸疾患センター), 松岡 宏樹(兵庫医大・外科(下部消化管外科)DELIMITER兵庫医大・炎症性腸疾患センター), 坂東 俊宏(兵庫医大・外科(下部消化管外科)DELIMITER兵庫医大・炎症性腸疾患センター), 竹末 芳生(兵庫医大・感染制御学), 冨田 尚裕(兵庫医大・外科(下部消化管外科))
抄録 潰瘍性大腸炎(UC)は全身の免疫異常であり,大腸以外の炎症が起こりうる.手術症例からUC関連胃十二指腸病変,小腸病変を合併した症例を検討した.【方法】2000年から2012年12月までに手術を行ったUC1,110例を対象とした.【結果】UC関連病変上部消化管病変合併は22例で,小腸病変を伴う4例は2010年以降の症例であった.胃病変のみ3例,胃十二指腸病変19例で,5例に小腸病変が存在した.2例は小腸病変なかったがその他15例は不明であった.年齢は33(20-67)歳,男女比11:11,初回手術から35(-25-4320)日で発症,7例が術前に,5例が術後同一入院で,10例が退院後発症,うち6例が術後1年以上経過して発症した.病型は再燃寛解型16例,急性劇症型3例,慢性持続型3例でありすべて全大腸炎型であった.手術適応は難治性17例,中毒性巨大結腸(TMC)2例,癌3例であった.小腸病変は癌1例,重症の難治3例であった.発症時に肛門が機能していた14例中9例はpouchitisを合併していた.肛門非機能8例では2例が分割手術として直腸が残存し,5例がIPAA後,1例が術前に合併していた.小腸病変5例では2例の直腸が残存していたが,3例はIPAA後であった.主症状は嘔気,心窩部痛15例,吸収不良4例,出血5例,無症状5例であり小腸病変4例はすべて出血で発症,大量輸血を要した.その内1例が多発小腸穿孔を合併し2例がIVR止血を要した.最終的に4例はInfliximabにより軽快した.非出血症例では重篤な病変はなくステロイド,5-ASA等に反応した.【結語】背景因子での要因は明らかではなかったが,5例の小腸病変のうちMRSA腸炎1例,壊疽性膿皮症1例,縫合不全2例,肺炎1例,十二指腸穿孔後発症1例で何らかの併存する炎症により免疫異常が惹起された可能性も示唆される.サイトメガロウイルスは3例で陽性であったが関連は不明であった.出血症例では治療抵抗性,重篤化,急速進行性の傾向があり,早期の診断,強力な治療が必要である.
索引用語 潰瘍性大腸炎, 小腸病変