セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

小腸-炎症性腸疾患

タイトル 内P-311:

クローン病患者に対する適切なバルーン内視鏡検査間隔の検討

演者 日山 智史(大阪大大学院・消化器内科学)
共同演者 飯島 英樹(大阪大大学院・消化器内科学), 川井 翔一郎(大阪大大学院・消化器内科学), 白石 衣里(大阪大大学院・消化器内科学), 向井 章(大阪大大学院・消化器内科学), 井上 隆弘(大阪大大学院・消化器内科学), 新崎 信一郎(大阪大大学院・消化器内科学), 辻井 正彦(大阪大大学院・消化器内科学), 竹原 徹郎(大阪大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】クローン病(以下CD)の診断や治療選択にバルーン内視鏡(以下BE)は重要なモダリティであるが,その適切な検査間隔に関する報告は少ない.我々は,BEの検査間隔とCDの短期的臨床経過との関連を検討した.【方法】対象は2007年4月より2011年3月までに当院にて初回BEを施行した,小腸型・小腸大腸型CD患者62症例のうち,BEを複数回施行し,かつ初回検査時より2年間臨床経過を追跡できた32症例.初回-2回目の検査間隔が15か月以内のものをshort interval群(S群),16か月以上のものをlong interval群(L群)とし,臨床経過との関連を検討した.検査間隔≦1か月は同時期の検査とした.【成績】初回検査時の男女比=21:11,平均年齢38.4歳,小腸型:小腸大腸型=13:19,検査間隔は平均22.8(2-68)か月,S群15例(平均10か月),L群17例(平均34.2か月)であった.初回検査時の性別,年齢,病型,CDAIに両群で有意差を認めなかったが,S群ではRutgeertsスコア=i4相当の重度な小腸粘膜傷害を有する症例が80%(12/15)とL群の35%(6/17)と比し高率であることに加え(p<0.05),2年以内に外科的手術を要した症例が27%(4/15)と多い傾向にあり(L群6%(1/17)),重篤な症例が含まれていると考えられた.S群での2回目BEの目的は症状増悪に対する精査が12例,無症状での経過観察が3例であり,無症状例でも1例小腸狭窄の増悪を認めた.検査を契機に外科的手術,内視鏡的拡張術,抗TNFα抗体導入を含む治療強化を行った症例は73%(11/15)とL群の18%(3/17)と比し高率であった(p<0.01).一方,初回検査時から2年後のCDAIの改善度(S群252.5→144.5,L群197.8→117.9),臨床的寛解症例(CDAI<150)の割合(S群73%(11/15),L群65%(11/17))は共に両群間で有意差なく,外科的手術施行例を除いても同様の結果であった.【結論】CD患者に対する短間隔でのBEは適切な治療選択に繋がり,重篤な症例においても臨床経過の改善に寄与する可能性がある.
索引用語 クローン病, バルーン内視鏡