セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

小腸-炎症性腸疾患

タイトル 内P-312:

腸間膜リンパ節炎で発症したクローン病の1例

演者 大西 佳文(国立静岡医療センター・消化器内科)
共同演者 久松 朱里(国立静岡医療センター・消化器内科), 飯塚 篤(国立静岡医療センター・消化器内科), 関戸 康友(国立静岡医療センター・病理)
抄録 (症例)43歳女性,主訴は腹痛,発熱.(経過)2012年,7月下旬,38度発熱と腹痛のため近医受診した.右下腹部に反跳痛を認め,虫垂炎疑いで当院外科入院となった.入院時血液は,WBC14500, 好中球73%, CRP7.56と上昇.腹部CTでは,遠位回腸の肥厚,骨盤腔に軽度腹水,多数の腸間膜リンパ節,最大径2.5cmまで腫大し,エルシニア腸炎による回腸末端炎が疑われた.下部消化管内視鏡では,全結腸粘膜に異常はなく,回盲弁にわずかなアフタを認めるのみであった.生検組織は,リンパ球,好中球,好酸球の著明な浸潤による活動性炎であった.カプセル内視鏡でも,小腸に明らかな異常はなく,抗生剤投与2週間後に炎症所見,症状が改善したため退院した.11月腹痛,発熱,体重減少で再度受診し,CTでは中心壊死傾向のある腸間膜リンパ節が増大,遠位回腸から上行結腸の肥厚を認めた.腹部リンパ節結核を鑑別するため,上行結腸からEUS-FNAを施行した.組織では,Tb PCRでDNA陰性,著明な好中球からリンパ腫よりは炎症性変化による膿瘍を疑った.小腸DBEでは遠位回腸に,縦走傾向のあるアフタが散在し,上行から横行結腸にも発赤を認めた.生検では肉芽形成は明らかでなく,好中球を含む炎症細胞浸潤や,リンパ濾胞形成を粘膜下層まで認めた.以上から,腸間膜リンパ節炎で発症した小腸,大腸クローン病を強く疑い,12月下旬抗TNF-α抗体を施行した.翌日には,症状消失し,CRP1.2まで改善した.(考察)1. 粘膜所見よりも,腸間膜リンパ節腫大で発症したクローン病は珍しく,興味深いと考えられた.2. 20mm以上で壊死傾向のあるリンパ節腫大のCDは報告例がなく鑑別診断に難渋した.3. 腸間膜リンパ節炎の鑑別診断にはEUS-FNAが有用であった.
索引用語 腸間膜リンパ節, クローン病