セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

小腸-バルーン内視鏡

タイトル 内P-318:

ダブルバルーン内視鏡が診断に有効であったblind loop症候群の2例

演者 串間 美幸(宮崎大附属病院・1内科)
共同演者 仮屋 暢人(宮崎大附属病院・1内科), 三宮 一朗(宮崎大附属病院・1内科), 原口 大(宮崎大附属病院・1内科), 三木 吾郎(宮崎大附属病院・1内科), 星子 新理(宮崎大附属病院・1内科), 松本 英丈(宮崎大附属病院・1内科), 中島 孝治(宮崎大附属病院・1内科), 芦塚 伸也(宮崎大附属病院・1内科), 稲津 東彦(宮崎大附属病院・1内科), 北村 和雄(宮崎大附属病院・1内科)
抄録 【背景】胃全摘後の合併症予防目的で再建法の様々な工夫がなされているが,術後遠隔期の合併症としてblind loop症候群が挙げられる.再建腸管の経路・管腔内の状況に関して,一般的な上部消化管内視鏡スコープやX線造影での検査では正確な診断は困難であるが,今回,我々はダブルバルーン内視鏡(DBE)を用い,診断に至ったblind loop症候群を2例経験したため,報告する.
【症例1】70歳代,女性.【主訴】両下腿浮腫【経過】7年前に胃悪性リンパ腫に対して胃全摘術が施行された.200X年,両下腿浮腫,低アルブミン血症が出現し,精査目的当科入院.経口ダブルバルーン小腸内視鏡(DBE)にて,術後再建腸管深部に著明に拡張した盲端腸管が認められた.透視所見と合わせ,Billroth II+Braun吻合における食道Y脚の一側が完全閉鎖し盲端化していると考えられた.拡張盲端には黄緑色腸の腸液が多量に貯留しており,blind loop症候群が疑われた.当院外科にて盲端腸管を外科的切除後,低蛋白血症と浮腫は順調に改善した.
【症例2】60歳代,男性.【主訴】両下腿浮腫【経過】21年前,胃癌に対して胃全摘術(再建術不明)を施行された.手術11年後より両下腿浮腫の消長が出現したが原因不明のまま経過した.20XX年(術後21年),両下腿浮腫増悪と著明な低蛋白血症を認め,当科紹介となった.上部消化管内視鏡検査で食道吻合部が二股に分岐しており,Billroth II法再建と考えられた.一側の再建腸管が著明に拡張し,黄緑色の腸液・残差の貯留が認められた.DBEで分岐した腸管が深部で交通しており,再建法がBillroth II法+Braun吻合である事が判明した.また,Braun吻合部肛門側が狭窄し腸内容の停滞を来しており,blind loop症候群と診断した.外科的治療目的で地元の病院へ転院となった.
【考察】DBEは術後再建腸管の深部評価が可能であり,blind loop症候群の診断に極めて有効と考えられた.
索引用語 ダブルバルーン小腸内視鏡, blind loop症候群