セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

小腸-バルーン内視鏡

タイトル 内P-320:

ダブルバルーン内視鏡で治療しえた回腸pyogenic granulomaの1例

演者 小林 健一(刈谷豊田総合病院・内科)
共同演者 浜島 英司(刈谷豊田総合病院・内科), 中江 康之(刈谷豊田総合病院・内科), 仲島 さより(刈谷豊田総合病院・内科), 坂巻 慶一(刈谷豊田総合病院・内科), 松井 健一(刈谷豊田総合病院・内科), 内田 元太(刈谷豊田総合病院・内科), 室井 航一(刈谷豊田総合病院・内科), 井本 正巳(刈谷豊田総合病院・内科), 大宮 直木(名古屋大・消化器内科), 後藤 秀実(名古屋大・消化器内科)
抄録 【症例】85歳,男性.主訴は体重減少.既往歴は虫垂炎で,NSAIDsの内服(-).H24年2月より体重減少があり,近医を受診.下血はみられず,上部消化管内視鏡では胃炎,注腸X線では大腸憩室・ポリープを認めた.血液検査ではHb7.1g/dlと貧血を認め,3月に当科に紹介・入院となった.鉄欠乏性貧血で消化管出血が疑われ,下部消化管内視鏡では,回腸末端まで観察し,Tのポリープを切除し過形成性ポリープであった.小腸出血が疑われ,鉄剤内服・輸血にてHbは9.0g/dlと改善したが.これ以上の精査を望まず,4月に退院・近医で経過観察となった.以後,鉄剤を継続したが,9月にHb8.2g/dlで当科に再度紹介となった.速やかな精査を希望せず,外来で輸血を繰り返したが,Hbは6.8~8.4g/dlであった.9月の腹部造影CTでは,回腸に造影効果のある長径6mmの小結節を認めた.10月の小腸X線では,小腸は特に異常を認めなかった.11月のカプセル内視鏡では,下部回腸に活動性出血・糜爛を認めた.入院を希望せず,経過が長期にわたったが,経肛門的ダブルバルーン小腸内視鏡(以下DBE)の入院方向となった.12月のDBEでは,盲腸より口側に新鮮血がみられ,下部回腸に長径5mmの表面が発赤し平滑な隆起性病変を認めた.その頂部から出血を認め,pyogenic granuloma(以下PG)を疑い,EMRで病変を切除しクリップで縫縮した.切除標本は,5×4mm/10×8mmであった.組織学的には,粘膜表面から亜有形性に突出する表面滑沢な病変で,糜爛面が露出し,肉芽様の毛細血管増生が主体で,間質には単核細胞・好酸球の浸潤を伴い,PGと確定診断した.術後の経過は良好で,第5病日に退院となった.H25年3月にはHb12.5g/dlと改善し,現在経過観察中である.【結語】自験例は,DBEによるEMRで治療しえた回腸PGで,小腸のPGは極めて稀な疾患であり,小腸出血の原因の1つとして念頭に置く必要があると考えられた.
索引用語 pyogenic granuloma, 回腸