セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

小腸-バルーン内視鏡

タイトル 内P-321:

ダブルバルーン小腸内視鏡にて診断・治療し得た小腸pyogenic granulomaの1例

演者 岡本 法奈(川崎幸病院・消化器病センター)
共同演者 高畑 彩子(川崎幸病院・消化器病センター), 十倉 淳紀(川崎幸病院・消化器病センター), 堀野 誠(川崎幸病院・消化器病センター), 眞田 和賢(川崎幸病院・消化器病センター), 藤原 裕之(川崎幸病院・消化器病センター), 大前 芳男(川崎幸病院・消化器病センター), 関川 浩司(川崎幸病院・消化器病センター外科)
抄録 【症例】59歳女性【主訴】貧血,下血【既往歴】脳梗塞(抗血小板剤薬内服)【現病歴】突然の血便を主訴に当院に緊急入院となった.入院後造影CT検査および上下部消化管内視鏡を施行したが出血源はわからず,一旦外来で経過観察することとなった.しかしその後も貧血が進行し,黒色便を認めるようになったため,3か月後に再度入院となった.【経過】入院後造影CTおよび上部消化管内視鏡検査では前回同様出血源を同定できなかった.小腸出血を疑いカプセル内視鏡検査を施行したところ,上部空腸に新鮮血の貯留を認めた.経口的にダブルバルーン内視鏡を施行し,同部位に10mm大の膿性白苔を付着する亜有茎性の隆起性病変を認めた.病変の肛門側に黒色の血液貯留があったことから同病変が出血源と考えられた.生検結果は肉芽組織であり,後日EMRにて病変を切除した.病理組織学的には毛細血管の増殖と線維芽細胞からなる肉芽組織で,pyogenic granulomaと診断した. 術後黒色便と貧血は改善した.【考察】Pyogenic granulomaは皮膚や粘膜の結合織に由来する良性の肉芽腫性の病変で,一般に皮膚や粘膜に好発し,消化管に発生するのは稀である.本邦でも小腸病変の報告は自験例を含めても20例に満たない.本疾患は,以前は腹部血管造影や出血シンチグラフィー,小腸造影検査などで診断されてきたが,近年,カプセル内視鏡やバルーン内視鏡により診断された報告も散見されるようになってきた.治療としては外科的切除が行われてきたが,バルーン内視鏡によるEMRも選択肢の1つとして考えられる.本症例においても大きさや肉眼形態から内視鏡的治療が可能と判断しEMRを施行した.【結語】今回,カプセル内視鏡にて出血源を同定し,ダブルバルーン内視鏡に治療し得た小腸pyogenic granulomaの1例を経験したため報告する.
索引用語 pyogenic granuloma, 小腸内視鏡