セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-IBD1

タイトル 内P-323:

アフタ様病変のみから成るCrohn病の3例

演者 垂水 研一(川崎医大・消化管内科)
共同演者 石井 学(川崎医大・消化管内科), 藤田 穣(川崎医大・消化管内科), 松本 啓志(川崎医大・消化管内科), 鎌田 智有(川崎医大・消化管内科), 竹馬 彰(チクバ外科・胃腸科・肛門科病院), 秋山 隆(川崎医大・病理学), 塩谷 昭子(川崎医大・消化管内科), 春間 賢(川崎医大・消化管内科)
抄録 2010年のクローン病診断基準(案)では副所見の「広範囲にみられる不整形潰瘍~類円形潰瘍またはアフタ」が認められ,さらに主要所見の非乾酪性類上皮細胞性肉芽腫(以下,肉芽腫)が検出されればクローン病確診とされる.しかし,肉芽腫の検出率は必ずしも高いとは言えず,偽診例となっている症例が少なからず存在する.今回我々は初診時の大腸内視鏡検査(以下,CS)でアフタ性病変を主体とする亜びまん性大腸炎を認め,発症から5年以上の経過を追うことが可能であった3例のクローン病(以下,CD)を経験したので報告する. 症例1,症例2とも20歳代の男性.下痢精査のために施行したCSで,直腸を除く全大腸に紅暈を伴い,中心にわずかな白苔が付着した数mmの類円形のアフタ様びらんが散在してみられた.その配列には縦走性などの特徴はみられず,背景粘膜の血管透見像は非連続性に観察された.2例とも10年間に渡り毎年CSを施行しているがCS所見に変化はなく経過している.なお,組織生検で肉芽腫が途中経過の検査で検出されCDの確診はなされている. 症例3は40歳代の男性.会社健診の便潜血検査が陽性のためCSが施行された.症例1,2と同様のCS所見を呈していたが肉芽腫が認められず経過観察となっていた.4年間は自覚症状がなく,CS所見の変化もみられなかったが,5年後に腹痛,下痢,発熱が出現した.CS施行したところ大腸に多発する縦走潰瘍がみられ,組織生検にて肉芽腫が認められCDと確診し,アダリムマブ投与を開始した. 自験例は,縦走潰瘍や敷石像など定型的CDの病変を欠き,アフタを主体とする亜びまん性大腸炎の像を呈していた.2例は長期に渡り病変の進展はみられていないが,1例は定型的大腸型CDへと進展し興味深い経過を辿った.CDの初期病変として認識する必要がある非定型像を呈した3例のCD症例を経験したため文献的考察を加え報告する.
索引用語 Crohn病, アフタ様病変