共同演者 |
山本 章二朗(宮崎大・消化器血液学), 上原 なつみ(宮崎大・消化器血液学), 竹田 幸子(宮崎大・消化器血液学), 宮原 晶子(宮崎大・消化器血液学), 夏田 朱一郎(宮崎大・消化器血液学), 阪口 舞(宮崎大・消化器血液学), 橋本 神奈(宮崎大・消化器血液学), 山路 卓巳(宮崎大・消化器血液学), 安倍 弘生(宮崎大・消化器血液学), 三池 忠(宮崎大・消化器血液学), 頼田 顕辞(宮崎大附属病院・病理部), 下田 和哉(宮崎大・消化器血液学) |
抄録 |
【初めに】若年性ポリープは主に幼児,小児に好発し,組織学的には拡張した嚢胞状の腺管を特徴とする大腸のポリープである.要因として,弧発性や炎症の関与が挙げられているが,その中でも潰瘍性大腸炎(UC)合併例が増加している.今回,若年性ポリープを認めたUCの2症例を経験したので報告する.【症例1】15歳,男性.13歳発症の全大腸炎型のUCで,発症時,ステロイド,5-ASA製剤,血球成分除去療法にて寛解し,CS上もMatt's grade3→1に改善した.当時,ポリープは指摘されていなかったが,発症1年3ヶ月後のCSで横行結腸肝弯曲部に径20mm大のIpポリープを認めた.頭部は発赤イクラ状で,茎部から基部の粘膜は顆粒状であり,インジゴカルミン散布では頭部は腫大したpit構造であった.内視鏡的粘膜切除術(EMR)を施行し,病理組織診断は若年性ポリープであった.【症例2】31歳,男性.11歳発症の全大腸炎型のUCで,再燃を繰り返す度にステロイド内服加療を受けた.当科初診時のCSではMatt's grade3であり,横行結腸右側に径3mm大の発赤したIs型ポリープを認めた.9ヶ月後のCSでポリープは径約5mm,Isp型であり,大きさ,形状が変化していた.その後,インフリキシマブ(IFX)を導入し,当院初回CSより約1年後(IFX3回投与後)のCSではUCは改善傾向を示していたが,既知のポリープは径約1.3cmに増大しており,頭部は発赤調で星芒状や延長したpitを呈していた.EMRを施行し,病理組織診断は若年性ポリープが示唆される所見であった.【まとめ】UCの経過中に若年性ポリープを認めた2症例を経験した.1例目はUCの経過中に発生し,2例目は経過中に増大傾向を示した.各々罹患期間や活動性などに相違がみられたが,ともに1年に満たない短期間でポリープに変化を認め,非常に興味深い経過と考えられた.今後UC症例の増加に伴い,さらに若年性ポリープの発見される機会が増えると思われ,文献的考察を含めて報告する. |