セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-IBD2

タイトル 内P-329:

ベーチェット病と鑑別を要した潰瘍性大腸炎の1例

演者 鎌野 俊彰(藤田保健衛生大・消化管内科)
共同演者 中井 遥(藤田保健衛生大・消化管内科), 生野 浩和(藤田保健衛生大・消化管内科), 小村 成臣(藤田保健衛生大・消化管内科), 丸山 尚子(藤田保健衛生大・消化管内科), 長坂 光夫(藤田保健衛生大・消化管内科), 中川 義仁(藤田保健衛生大・消化管内科), 平田 一郎(藤田保健衛生大・消化管内科)
抄録 症例)36歳・女性 主訴)下痢・血便 既往歴)2012/2月より脳梗塞(脳ドッグで指摘) 家族歴)父・脊髄小脳変性症,母・脳梗塞など家族性あり 現病歴)2012/6月頃より10回/日の下痢・血便が出現,他院に入院となり保存的に加療された.CT検査で横行結腸~直腸の壁肥厚あり,S状結腸ファイバーで連続性に炎症性変化を認め,潰瘍性大腸炎・全結腸型の疑いで,ステロイド50mg開始.その後も症状の改善は乏しく,点滴刺入部に膿瘍形成(針反応の疑い)あり,ベーチェット病疑いの可能性も否定できず,当院に紹介・転院となった.経過)当院に入院後は,ステロイドは減量しながら保存的に加療を継続,血液検査では低蛋白血症と炎症反応の上昇を認めた.当院でのS状結腸ファイバーでは,直腸より連続性に発赤・びらん・粗造粘膜・小潰瘍を認めた.また,直腸・肛門直上に深ぼれの潰瘍を認めた.IVH管理として,顆粒球吸着療法を導入した.また,内視鏡検査の生検でCMV陽性の結果により,ガンシクロビルを開始した.その後に症状は改善傾向を認め,食事開始後も経過は良好で退院となった.退院前の大腸内視鏡検査再検では直腸・S状結腸では炎症は改善していたが,下行結腸では炎症は残存,潰瘍瘢痕と多発した炎症性ポリープで口側への挿入はできなかった.本症例はベーチェット病疑いの可能性もあり,点滴刺入部に膿瘍形成の皮膚症状のほかに,経過中に口腔内アフタと陰部にびらん・水泡を認めた.眼病変は認めず,HLA-B51は陰性であった.皮膚症状などは潰瘍性大腸炎の治療の経過で改善を認めた.考察)内視鏡検査の所見,治療の効果からは,潰瘍性大腸炎の診断,ベーチェット病は積極的には考えにくい.本症例は主に皮膚症状から,ベーチェット病との鑑別を要した.若干の文献的考察のほか,その他に当院で内視鏡検査が施行されているベーチェット病(疑いを含む)との検討を加えて報告する.
索引用語 潰瘍性大腸炎, ベーチェット病