セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-IBD2

タイトル 内P-330:

診断・治療に苦慮した肛門病変先行型クローン病の1例

演者 増田 勉(生駒胃腸科肛門科診療所DELIMITER土庫病院・大腸肛門病センター)
共同演者 稲次 直樹(生駒胃腸科肛門科診療所), 吉川 周作(生駒胃腸科肛門科診療所), 内田 秀樹(生駒胃腸科肛門科診療所), 久下 博之(生駒胃腸科肛門科診療所), 横谷 倫世(生駒胃腸科肛門科診療所), 山岡 健太郎(生駒胃腸科肛門科診療所), 下林 孝好(生駒胃腸科肛門科診療所), 稲垣 水美(生駒胃腸科肛門科診療所), 横尾 貴史(生駒胃腸科肛門科診療所)
抄録 (はじめに)肛門病変で初発し,診断・治療に苦慮したクローン病症例を経験したので報告する.(症例)23歳,男性.平成20年10月他院にて肛門周囲膿瘍に対して切開排膿術施行.平成21年11月術後創部治癒遅延にて当診療所初診.腹部症状無し. 平成22年2月肛門精査.クローン病による痔瘻と診断,手術施行.4月全大腸内視鏡検査及び小腸造影検査施行.前者にて終末回腸に縦走発赤隆起,下部直腸に潰瘍あり.後者は異常なし.クローン病疑診例と診断し治療開始.5ASA 3g/日投与.6月IFX投与開始し以後,維持投与し術後創部治癒.平成23年 3月 7回目IFX投与.同月全大腸内視鏡検査及び小腸造影検査施行.前者にて終末回腸にアフタを認める.後者は異常なし.4月胃内視鏡検査施行.異常なし.5月,明確な腸管のクローン病変無く,術後創部も治癒しているのでIFX投与を中止.7月術後創部離開,排膿あり.8月カプセル内視鏡検査施行.小腸に多発潰瘍認める.9月  今までの標本再評価し,肉芽腫を認め,クローン病確診例と診断. IFX再投与開始.平成24年1月3回目IFX再投与.離開創ほぼ治癒. (考察)肛門病変先行型クローン病は全体の約1/3を占め,早期診断が困難な事が多い.今回の症例でもクローン病を疑って施行した最初の腸管精査では確定診断に至らなかった.しかし,最終的にはカプセル内視鏡で小腸の病変を描出し,診断できた.治療について,腸管病変が高度でない症例に生物学的製剤を投与することには議論があるところだが,肛門病変先行型クローン病はいわゆる「early Crhon」ではなく,早期に生物学的製剤を投与する必要性を述べた論文もある.今回の症例はクローン病の特徴である肛門部術後創の治癒遅延を生物学的製剤投与により防いで進行させず,同時に腸管病変にもクローン病変進展予防の効果が期待できており有意義と考える.
索引用語 肛門病変先行, クローン病