共同演者 |
中瀬 真実(島根県立中央病院・消化器科), 上野 さや香(島根県立中央病院・消化器科), 福田 聡司(島根県立中央病院・消化器科), 三上 博信(島根県立中央病院・消化器科), 沖本 英子(島根県立中央病院・消化器科), 矢崎 友隆(島根県立中央病院・消化器科), 園山 隆之(島根県立中央病院・消化器科), 伊藤 聡子(島根県立中央病院・消化器科), 宮岡 洋一(島根県立中央病院・内視鏡科), 藤代 浩史(島根県立中央病院・内視鏡科), 高下 成明(島根県立中央病院・消化器科), 今岡 友紀(島根県立中央病院・消化器科) |
抄録 |
【目的】近年大腸内視鏡検査の普及及び機器の進歩により, 内視鏡治療の適応とされる直腸Neuroendocrine tumor(以後NET)が増加している.内視鏡治療としてはEndoscopic mucosal resection(以後EMR), Endoscopic submucosal resection with ligation device(以後ESMR-L)及びEndoscopic subumucosal dissection(以後ESD)等が行われているがいまだ標準的な治療は確立されていない.今回我々は内視鏡的に切除した直腸NETの治療成績を振り返り, 各治療法の有用性, 妥当性を検討した.【方法】2003年9月から2013年3月までに当院で内視鏡治療を行った直腸NET15症例を対象とした.病変はRb12例, Ra2例, Rs1例であった.内視鏡治療の内訳はEMR3例, ESML-R6例, ESD6例であり, 1.治療時間, 2.腫瘍径, 3.一括治癒切除率, 4.脈管侵襲陽性率,5.合併症の有無, 6.遺残再発率について其々検討した.【成績】病変はすべて表面平滑な隆起性病変であり, 切除後の病理ではNET(G-1)の診断であった.治療平均時間はEMR:ESMR-L:ESD=12.3:21.7:65(分)であった.平均腫瘍長径はEMR:ESMR-L:ESD=3.0:4.1:8.0(mm)であった.一括治癒切除率はEMR:ESMR-L:ESD=33%(1/3):100%(6/6):83%(5/6)であった.脈管侵襲陽性率はEMR:ESMR-L:ESD=0%(0/3):17%(1/6):0%(0/6)であった.いずれの症例も合併症は認めなかった.すべて追加治療は行わず経過観察中であるが遺残・転移再発は認めていない.【結論】EMRを施行した症例はESMR-L/ESDを施行した症例に比べて高率に一括切除率が悪く, 標準治療には適さないと考えられた.ESD/ESMR-Lは治療成績に大きな違いは認められないがESMR-Lの方が治療時間は短い傾向にあった.上記成績を踏まえ当院では現在8mm以上の病変及び正面視が困難な病変に対してはESD, それ以外はESMR-Lでの治療方針としているが今後の症例の蓄積が望まれる. |