セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-NET

タイトル 内P-332:

直腸カルチノイド腫瘍53病変の内視鏡像の検討

演者 檜垣 真吾(セントヒル病院)
共同演者 浜辺 崇衣(セントヒル病院), 松元 祐輔(セントヒル病院), 坂井田 功(山口大・消化器病態内科学)
抄録 背景と目的:直腸カルチノイド腫瘍の典型的な内視鏡像は,半球状または粘膜下腫瘍様で黄色調の隆起性病変である.直腸カルチノイド腫瘍の内視鏡治療は,事前に内視鏡医がカルチノイド腫瘍と診断して内視鏡治療する場合は,切除下床断端を陽性にすることはまずはない.ところが,事前の内視鏡診断が不明な状態で不用意に切除された場合,下床断端陽性となる可能性がある.大腸がんと同程度の転移能を持つ直腸カルチノイド腫瘍の遺残病変は,外科的腸追加切除の対象である.そのため,直腸カルチノイド腫瘍の術前内視鏡診断が重要であるが,果たして,すべての直腸カルチノイド腫瘍が事前に正診可能であろうか.今回,過去35年間に経験された直腸カルチノイド腫瘍の内視鏡像について後ろ向きに検討した.対象:1977年から2012年における自験の直腸カルチノイド腫瘍51症例53病変である.内視鏡所見を既報の典型的な内視鏡所見(色調:黄色または同色,表面性状:表面平滑,形態:無茎性,半球状,粘膜下腫瘍様)と非典型的内視鏡所見(色調:発赤また白色,表面性状:潰瘍,びらん,中心陥凹,形態:亜有茎性)に分類した.結果:患者背景は,男性35人,女性16人,平均年齢53.3歳,平均腫瘍径7.2mm,病変の局在は,Ra7例,Rb46例.内視鏡所見は典型型36病変,非典型型17病変であった.腫瘍径別の内視鏡像は5mm以下では典型例14例,非典型例2例,6mmから10mmでは典型例16例,非典型例9例,11mm以上では典型例6例,非典型例6例であった.治療法は,局所切除(内視鏡的切除,経肛門的外科切除)46病変,外科的腸管切除7病変で,外科的腸管切除された7病変中3病変に転移を認めた.結論:直腸カルチノイド腫瘍は,腫瘍径の増大に伴い非典型的内視鏡像で診断される頻度が増加した.10mm以下の非典型的な直腸カルチノイド腫瘍の頻度は不明であるため,我々内視鏡医は非典型の小病変を見逃している可能性があると考えた.
索引用語 直腸カルチノイド腫瘍, 内視鏡像