セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-NET

タイトル 内P-334:

潰瘍性大腸炎に合併した直腸カルチノイドの3例

演者 上原 俊樹(日本大板橋病院・消化器・肝臓内科)
共同演者 水野 滋章(日本大板橋病院・消化器・肝臓内科), 大山 恭平(日本大板橋病院・消化器・肝臓内科), 春田 明子(日本大板橋病院・消化器・肝臓内科), 中村 由紀(日本大板橋病院・消化器・肝臓内科), 川島 志布子(日本大板橋病院・消化器・肝臓内科), 堀内 裕太(日本大板橋病院・消化器・肝臓内科), 好士 大介(日本大板橋病院・消化器・肝臓内科), 岩本 真帆(日本大板橋病院・消化器・肝臓内科), 菊池 浩史(日本大板橋病院・消化器・肝臓内科), 宮本 俊八(日本大板橋病院・消化器・肝臓内科), 佐藤 秀樹(日本大板橋病院・消化器・肝臓内科), 原澤 尚登(日本大板橋病院・消化器・肝臓内科), 松村 寛(日本大板橋病院・消化器・肝臓内科), 宇野 昭毅(日本大板橋病院・消化器・肝臓内科), 森山 光彦(日本大板橋病院・消化器・肝臓内科)
抄録 長期経過観察の潰瘍性大腸炎(UC)症例における大腸癌の合併するリスクが高いことは知られているが,大腸癌以外の消化管原発腫瘍の合併報告例は少ない.今回,我々はUCに直腸カルチノイドを合併した3症例を経験したので報告する.症例1,40代男性,全結腸炎型,初回発作型,病悩期間4ヶ月.発症時は中等症であった.寛解期に内視鏡検査を施行し,下部直腸(Rb)に径6mmのSMTを認め,生検にてcarcinoid tumorと診断された.超音波内視鏡検査により,2,3層内の病変と診断し,EMRを施行した.深達度smで,断端陰性であった.その後14年間UCは寛解期で,カルチノイドの再発,発癌を認めていない.症例2,30代男性,直腸炎型,病悩期間15年.軽症の直腸炎であったが,UC関連関節炎を認め,PSLでコントロールがつかないためIFX導入となっていた.IFX導入後の内視鏡検査で,Rbに径2mmの白色小隆起を認め,生検にてcarcinoid tumor (NET G1)と診断された.小病変のため経過観察中である.症例3,50代男性,直腸炎型,病悩期間5年.寛解期の内視鏡検査にてRbに径8mmのわずかに中心陥凹を伴うSMTを認め,生検にてcarcinoid tumor (NET G1)と診断された.超音波内視鏡検査により,2,3層内の病変と診断し,今後ESD予定である.UCにカルチノイドを合併することは比較的希ではあるが,癌同様に全大腸炎型,病悩期間の長い症例に多いとされ,長期間の慢性炎症がカルチノイドの発生に関与すると考えられているものの詳細は不明である.治療は,カルチノイド周囲にdyplasiaを認めやすいという報告はなく,10mm以下ではEMR,ESDなど通常の治療でよいと考えるが,一方UCに合併するカルチノイドはdyplasia,癌の手術検体にて偶然発見された例の報告も多く,カルチノイド合併UCではカルチノイドの治療のみならず,定期的なsurveillance colonoscopyが重要と思われた.
索引用語 潰瘍性大腸炎, カルチノイド