セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-炎症

タイトル 内P-336:

劇症化を阻止できたアメーバ性大腸炎の1例

演者 細野 知宏(新東京病院・消化器科DELIMITER細野医院)
共同演者 東納 重隆(新東京病院・消化器科), 森田 靖(新東京病院・消化器科), 三浦 美貴(新東京病院・消化器科), 古田 良司(新東京病院・消化器科)
抄録 症例は61歳男性.2012年11月より下痢が出現,12月より食思不振も生じたため当院受診.発熱と炎症反応の上昇あり.単純CTでは上行結腸から横行結腸までの著明な壁肥厚と拡張を認め,大腸炎の診断にて入院.下部消化管内視鏡所見では直腸から糜爛,不整形潰瘍が存在し,口側に行くほど重症となり,S状結腸では正常粘膜が見られないほどの全周性に糜爛と潰瘍が存在.炎症性浮腫による狭窄により,S状結腸より口側にスコープが通過出来なかった.炎症性腸疾患や虚血性大腸炎としては非典型的な内視鏡像であり,アメーバ性大腸炎を含め感染性腸炎を考慮した.内視鏡所見と問診にてアメーバ性大腸炎を第一に考え,metronidazoleを開始した.開始後より発熱,炎症反応の劇的な改善を認めた.腹痛や下痢の臨床症状も軽快した.大腸粘膜の糜爛,潰瘍からの生検にて栄養型アメーバ虫体を検出し,アメーバ性大腸炎の確定診断を得た.本症例は肝膿瘍などの腸外アメーバ症の合併を認めず,早期のmetronidazole投与にて劇症化せず治癒に至り退院となった.現在再発は認めていないが,外来での下部消化管内視鏡所見では多発性に瘢痕狭窄を認めた.アメーバ性大腸炎は近年増加傾向にあるが,発症は緩徐で一般に軽症例が多い.しかし重症なアメーバ性大腸炎は診断,治療が遅れると予後不良な劇症化することもあり注意が必要である.本症例は腸管外合併症が無いにも関わらず発熱を認め,CT上炎症が軽いと思われたS状結腸においても重度の炎症により狭窄が存在した.治癒後も多発性に瘢痕狭窄が認められたことから,経過中に劇症化した可能性は十分に有り得た.本症例は当初からアメーバ性大腸炎を疑い,metronidazoleの早期投与にて劇症化を阻止できた可能性がある.診断に難渋する重篤な腸炎を生じた際には,アメーバ性大腸炎も念頭に置き早期の確定診断とmetronidazoleの早期投与が肝要であると考えられた.
索引用語 アメーバ性大腸炎, 赤痢アメーバ