セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-炎症

タイトル 内P-339:

当院にて発見された腸管スピロヘータ症4例の検討

演者 平石 哲也(川崎市立多摩病院・消化器・肝臓内科)
共同演者 北川 紗里香(川崎市立多摩病院・消化器・肝臓内科), 路川 陽介(川崎市立多摩病院・消化器・肝臓内科), 公文 大輔(川崎市立多摩病院・消化器・肝臓内科), 黄 世揚(川崎市立多摩病院・消化器・肝臓内科), 福田 安伸(川崎市立多摩病院・消化器・肝臓内科), 馬場 哲(川崎市立多摩病院・消化器・肝臓内科), 鈴木 通博(川崎市立多摩病院・消化器・肝臓内科), 伊東 文生(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科)
抄録 【背景】腸管スピロヘータ症はBrachysoira属グラム陰性桿菌を原因とする人畜共通感染症である.ヒトの腸管に感染するスピロヘータはB.aalborgiおよびB.pilosicoliの2つの菌種が知られているがB.aalborgiがヒトに感染するとされている.今回我々は当院にて経験した腸管スピロヘータ症4例について検討した.【方法】2010年4月より2013年2月までに当院にて大腸内視鏡検査(CS)を施行し生検にて腸管スピロヘータ症と診断された症例を対象とした.【結果】症例は年齢が51.5±14.5歳,基礎疾患や服薬歴は脳梗塞によるチクロピジン服用の1例以外特記するものはなかった.このうち2例は無症状であった.この2例は便潜血陽性にてCSを施行され,大腸ポリープのEMR検体及び多発小びらんの生検検体から発見された例であった.他の2例はともに肉眼的血便を認めCSが施行された.1例は直腸炎を認め,非特異的な炎症が持続していたためメサラジン注腸を施行されていたが2年後の経過観察目的のCSで残存する上行結腸の小びらんよりスピロヘータ菌体が発見された.2例目もやはり初回検査より直腸炎が持続し6ヵ月のCSにて直腸,S状結腸,回盲部の小びらんよりスピロヘータ菌体が発見された.血便の再燃を有していたためメトロニダゾール750mgを10日間投与した.いずれも初回内視鏡時の培養検査から特異的な細菌・寄生虫は同定されていない.【考案・結語】腸管スピロヘータは内視鏡生検にて偶然発見されるが臨床症状を呈する例は少ない.本邦では大腸生検検体の0.4~0.9%に発見されるとの報告がある.今回経験した有症状例はいずれも活動性の大腸炎を認めるものの,炎症性腸疾患(IBD)の初期像との鑑別が困難で再検査にて発見された.内視鏡所見上,大腸炎と診断されているものの中には腸管スピロヘータ症が潜んでいる可能性があり,非特異的な炎症所見が持続している場合は本症を疑い生検診断をする事が必要と思われた.
索引用語 腸管スピロヘータ症, 大腸内視鏡検査