セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-炎症

タイトル 内P-340:

Collagenous colitisの臨床病理学的検討

演者 剛崎 有加(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科)
共同演者 小泉 浩一(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科), 千葉 和朗(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科), 田畑 拓久(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科), 来間 佐和子(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科), 桑田 剛(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科), 藤原 崇(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科), 江頭 秀人(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科), 藤原 純子(がん・感染症センター都立駒込病院・内視鏡科), 荒川 丈夫(がん・感染症センター都立駒込病院・内視鏡科), 門馬 久美子(がん・感染症センター都立駒込病院・内視鏡科), 神澤 輝実(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科), 堀口 慎一郎(がん・感染症センター都立駒込病院・病理科)
抄録 【目的】慢性下痢の原因としてcollagenous colitis(CC)は重要な疾患である.近年PPIの長期投与が増加し,本邦ではLansoprazole(LPZ)によるCCが増加している.当院で経験したCCを臨床病理学的に検討し,その特徴を明らかにする.【方法】2004年11月から2013年2月までに当院でCCと診断された19例の内視鏡所見と病理所見の整合性を中心に検討した.【結果】診断時の平均年齢は69.2歳(51~78歳),男女比は5:14と女性に多く,主訴は全例水様性下痢で,診断までの病悩期間は平均3ヶ月(1~6か月)であった.PPI服用例は18例(94.7%)であり,内訳はLPZが17例,Rabeprazoleが1例であった.LPZ服用例のうち2例は,臨床経過から併用薬剤のAlaprazolamとTheophyllineが原因と考えられた.内視鏡所見は,血管透見不良が15例(78.9%),血管増生・不整が11例(57.9%),線状縦走潰瘍(瘢痕)が10例(52.6%),易出血性粘膜が7例(36.8%),微細顆粒状粘膜変化が3例(15.8%),肉眼的に異常所見を認めないものが3例(15.8%)であった. 19例118か所の生検では,肉眼的に正常粘膜からの生検陽性率が74.3%,異常所見では89.2%であり有意差は認めなかった(p=0.076).部位別の生検陽性率は,回腸末端で8.3%,盲腸で75%,上行結腸,横行結腸,下行結腸で100%,S状結腸で93.3%,直腸で94.4%であった.Step biopsyでCCと診断された5例中,1例が盲腸,S状結腸,直腸からの生検で陰性で,1例がS状結腸生検1か所で陰性であった.治療は,17例が原因薬剤中止で軽快したが,中止後も症状持続した2例はMesalazineにて改善した.【結語】CCの原因薬剤としてLPZが最多であるが,併用薬剤がCC発症に影響を及ぼす可能性も示唆された.慢性下痢の精査時は肉眼的に異常所見がなくとも積極的に全大腸からstep biopsyを行うことが望ましい.
索引用語 Collagenous colitis, 慢性下痢