セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-検診

タイトル 内P-343:

胃癌術前に大腸内視鏡スクリーニング検査は必要か?

演者 尾島 敏康(和歌山県立医大・2外科)
共同演者 中森 幹人(和歌山県立医大・2外科), 中村 公紀(和歌山県立医大・2外科), 岩橋 誠(和歌山県立医大・2外科), 勝田 将裕(和歌山県立医大・2外科), 飯田 武(和歌山県立医大・2外科), 早田 啓治(和歌山県立医大・2外科), 瀧藤 克也(和歌山県立医大・2外科), 山上 裕機(和歌山県立医大・2外科)
抄録 【目的】近年,悪性疾患に対する診断の進歩により,重複癌が増加している.当科では原則として手術予定の胃癌患者に対して大腸内視鏡スクリーニング検査を行っている.今回,我々は胃癌症例に対する大腸内視鏡検査の意義について検討した.【対象と方法】99年1月より12年6月までに当科で胃癌に対して手術を行った1891症例を対象とし,術前大腸内視鏡検査による下部消化管同時性病変の合併率,およびその治療内容について検討した.さらに胃癌患者において結腸直腸癌を合併する患者背景因子をロジスティック多変量解析を用いて検討した.【結果】術前大腸内視鏡検査を行った1891例のうち,537例(28.4%)に腫瘍性病変を認めた.結腸直腸癌は61例(3.2%)に認め,そのうち38例は同時手術(開腹32例,腹腔鏡6例)を行い,20例は術前に3例は術後に内視鏡下切除(ESD8例,EMR12例)を施行した.一方, 腺種は468例(24.7%)に認められ,55例は術前に30例は術後に内視鏡下切除を施行した.胃癌大腸癌同時切除を行った38例は,全例合併症は認めなかった.また,胃癌術前後の大腸内視鏡治療に伴う合併症も1例も認めなかった.胃癌患者において結腸直腸癌を合併する背景因子を解析すると,多変量解析において,胃に多発癌を認める(OR=15.3),Hb 8mg/dl未満の貧血(OR=3.0),喫煙(OR=1.90)が独立した危険因子であった.【結語】大腸内視鏡検診における結腸直腸癌の発見率は約1%と報告されており, それと比較すると胃癌患者における結腸直腸癌同時性合併は3.2%と高頻度であった.また, 胃癌大腸癌同時切除は開腹のみならず,腹腔鏡下にも安全に施行可能であった.胃癌の術前下部内視鏡スクリーニングは有用性,安全性の面から推奨されるスクリーニング検査と考えられた.特に胃内多発癌を有する症例は結腸直腸癌合併の高リスク群であり,これらの患者における胃癌術前下部内視鏡スクリーニングは必須と考えられた.
索引用語 胃癌, 大腸内視鏡